お菓子屋を開くまでの流れ|許可からレジ・商標まで全部まとめ
「開業したいけど、何から手をつければいいか分からない」
——そう思っていませんか?
許可・お金・物件・レジや決済・食品表示・商標まで、お菓子屋の開業には決めることが多く、順番を間違えると後戻りが大きくなります。
私は明石で棒付きマカロン専門店を営んでいて、2022年8月の開業から4年、この8つを1つずつ決めてきました。
迷ったときは、まずこの8つのステップの順番通りに進めてみてください。
自宅をあきらめた理由、7坪の物件、相見積もりの結果、レジと決済の選び方、商標登録で1件落ちた失敗まで、うちの順番を目安に、この1本にまとめました。
先に流れを知っておくと、迷ったときに戻れます。
まずは全体の流れを、8つのSTEPで見てください。
- 開業の順番が分かり、後戻りしない
- 自宅か店舗か、条件で判断できる
- 許可・資金・設備の実額が分かる
- レジ・決済・会計の選び方が分かる
- 食品表示の義務と、保険・商標の考え方が分かる
- 値上げや儲けの判断も分かる
- うちが開業でそろえたサービスと手続きが一覧で分かる
先に結論から!全体の流れはこの1枚のとおりです↓

※順番の目安です。同時に進めても構いません。
8つも決めることあるの!?
順番とかあるんだっけ?
はい、あります。うちの順番を目安に、この記事に並べました。
開業前に決めることを1つずつ思い出しながら進めるより、先に順番を知っておくほうが後戻りが減ります。
8つのSTEPに入る前に、うちが実際にそろえたものを先に1つにまとめておきます。
- ネットショップ:Shopify(2022年3月にアカウント→8月15日に全面公開)。始め方と開設の流れ/Shopify公式
- 開業届:freee開業で作り、e-Taxで提出(2022年8月1日)。開業届の作り方
- 事業用のカード:楽天カードの2枚目(開業のときに追加)。2枚持ちのやり方
- 事業用の口座:楽天銀行の個人ビジネス口座。口座の選び方
- 会計ソフト:弥生(2022年8月〜)→マネーフォワード(2024年4月〜)。3社の違い/自動化でカンタンに書類作成 マネーフォワード クラウド確定申告

- 保険:火災・PL・店舗賠償の3つ。見直した話
- レジとカード決済:Airレジ+Airペイ(2022年10月25日に申し込み、11月6日からカードOK)。レジと決済の決め方
- QR決済:PayPay・楽天ペイ(お客さんに聞かれて、あとから足した)。4本立ての使い分け
- 商標:自分で出願(2件出して1件登録)。商標登録の実体験
※料金や条件は変わることがあるので、申し込む前に公式サイトで確かめてください。
以下、うちの順番を目安に8つのSTEPを紹介します。各STEPは要約なので、深掘りは元記事のリンク先を見てください。
▼まず決める:自宅か店舗か

自宅の一室での開業も考えましたが、区画できる部屋がなく、水回りも電気の容量も足りず、家庭用のオーブンや冷蔵庫では事業として厳しいと判断しました。
そこで7坪の物件(元・うどん屋の居抜き)に切り替え、工事開始日から家賃が発生するよう交渉しました。家賃の実額は非公開です。
前のお店の内装や設備がある程度残った状態の物件のことです。ゼロから作るより改装費を抑えられることがあります。
自宅で開業できるかどうかの判断基準を先に知りたい方は、こちらで確認できます。
→ 手作りクッキー販売に許可は必要?自宅・マルシェ・OEMを許可取得した菓子店主が解説
居抜き物件を選んだ理由と、自宅・居抜き・レンタルキッチンを比べた中身は、こちらに詳しく書いています。
→ 菓子製造業許可 取り方完全マニュアル|マカロン屋がつまずいたポイントも正直に解説【2026年版】
自宅でできないか、みんな最初は考えるよね……
うちもそうでした。でも設備や区切り、電気容量がネックで、早めに諦めました。
▼許可を取る

お菓子を作って売るために保健所から取る営業許可のことです。自宅の台所では基本的に取れず、製造専用の部屋が要ります。
菓子製造業許可は、明石市の例で申請から約3週間・申請手数料14,000円(他自治体は金額が異なります)。
これに食品衛生責任者講習の受講料約1万円が乗り、許可まわりだけで合計約2.4万円でした。
内装工事は3社に見積もりを依頼し、採用した1社は税込1,815,000円(2022年5月31日付見積)でした。他2社は税込2,261,061円・1,727,000円で、差は約53万円です。
同じ工事や商品を複数の業者に見積もってもらい、金額や中身を比べることです。1社だけだと金額の高い安いが判断できません。
クッキー1枚でも許可が必要かどうか、まず「そもそも許可が要るか」から確認したい方はこちらです。
→ 手作りクッキー販売に許可は必要?自宅・マルシェ・OEMを許可取得した菓子店主が解説
保健所への相談から申請までの全ステップは、こちらにまとめています。
→ 菓子製造業許可 取り方完全マニュアル|マカロン屋がつまずいたポイントも正直に解説【2026年版】
181万円の見積書8ページと図面をそのまま公開しているのはこちらです。
→ 【初心者向け】菓子製造業許可の費用はいくら?7坪181万円の見積書と図面を全部公開
許可って、お金も時間もけっこうかかるんだね。
そうですね!3社取らなければ、もっと高い会社と契約していたと思います。
▼お金の計画を立てる

創業計画書は、実は開業後の2022年11月10日に作成しました(後から書いたものです)。
持続化補助金(創業枠)は2023年2月7日に不採択となり、自分で敗因を分析しました。
開業前には、雇用保険の再就職手当(受給額は60〜70%ルールで決まる制度)も検討し、条件を満たして受給しています。
開業に必要なお金と、その調達方法(自己資金・借入など)をまとめた書類のことです。融資を申し込むときに使います。
創業計画書の書き方と、全部外れた実例はこちらです。
→ 創業計画書の書き方|店主4年が全部外れて学んだ記入例つき
持続化補助金に落ちた5つの理由は、こちらで自己分析しています。
→ 持続化補助金、僕は落ちました。マカロン店主が3年前の経営計画書を振り返り不採択の5つの理由を分析【2026年版】
再就職手当の条件と、うちが受給した実例はこちら。
→ 個人事業主でも再就職手当はもらえる?マカロン店を開いて受け取った店主の流れと、いつから準備していいか
開店までにかかったお金は、内装・厨房機器・物件・ロゴ・雑費・保険をあわせた設備側で約351万円(決算書ベース。材料や備品の運転資金は別)。借入はせず、自己資金462万円(創業計画書に書いた額)だけで開きました。
内訳はこの記事に全部まとめています。
▼場所と設備を決める

場所は7坪の居抜き物件(元・うどん屋)にしました。工事の開始日から家賃が発生するよう、契約のときに交渉しています。
家賃の額は書きません。小さく始めるほど固定費は軽くなります。
厨房機器は中古店も見ましたが、値札に載っていないお金があると分かり断念しました。
2社から見積もりを取り、同じ4品目で比べると差は約32万円(税抜。据付の有無・冷蔵庫の機種違い)。
最終的に厨房機器5点で税込97万9千円(2022年5月17日見積)、決めるまでに約4か月かかりました。
※見積は97万9千円でしたが、決算書に載った額は102万4,980円です。差額の内訳は記録が残っていません。
厨房機器を2社で相見積もりした記録と、決め方の基準はこちらにまとめています。
→ 厨房機器の見積書が高いか分からない人へ|中古店と2社の相見積もり、実際に払った97万円の全記録
大型の厨房機器も含めて、ミキサーや絞り袋まで入れた機材と道具の合計は約132万円でした。1つずつの値段はこちらです。→ お菓子屋の開業機材、全部でいくら?実額とおすすめ機材紹介
▼開店してから決める:レジ・決済・会計

ここは、許可や設備より後、開店してから決めたものです。うちは開店してから2か月、電卓と現金だけでやっていました。
Airレジ+Airペイを申し込んだのは2022年10月25日で、カードが使えるようになったのは11月6日です。最初は現金だけでしたが、その後、お客さんから「PayPayは使えますか」と聞かれるたびに1つずつ足していきました。最終的にPayPay・楽天ペイも加わり、「QR2枚+Airペイ+現金」という4本立て体制になりました。
決済まわりの月額は0円です(決済手数料は別にかかります)。
会計は弥生の青色申告オンライン(2022年8月〜。CMでよく見ていたから、比べずに選びました)を使い、2024年4月にマネーフォワードへ乗り換えました。
レジと決済を何から決めればいいかは、うちが決めた順番と実額をこちらにまとめています。
→ お菓子屋を開いたら、カード決済とレジはどうする?4年の実例
Airレジを開業から4年使った正直な感想はこちらです。
→ Airレジのデメリットは本当?4年使った店主が答え合わせ|起きたこと・起きなかったこと
PayPay・楽天ペイ・Airペイをどう使い分けているかはこちらにまとめています。
→ 個人事業主のキャッシュレス|PayPay+楽天ペイ+Airペイ4本立て|マカロン店主4年【2026年版】
会計ソフトは「レジを使うか」「スマホだけで済ませたいか」の2つの質問で選び方が変わります。3社の違いと、比べずに弥生を選んで1年8か月で乗り換えた理由はこちらです。
レジやQR決済って、そんなに種類を増やす必要あるの?
最初は現金だけでしたね。
▼売る場所を広げる

うちはネット販売(Shopify)から始めました。近くのお客さんに「ここで買えないの?」と言われて店頭での販売も始めたので、ネット販売と実店舗はほぼ同時のスタートです。マルシェ出店は、そのあとに広げました。
売り場を作らず、作る場所だけを借りて始めた流れは、「店舗を持たないお菓子屋は成り立つ?」にまとめています。
ネット販売に必要なのは、資格・許可・販売場所という3つの要素だけです。
マルシェは月2回以上のペースで、これまでに100回以上出店してきました。
ネット販売の全体像は、この記事とは役割が分かれています。この記事は開業全体の入口、こちらの記事はネット販売(EC)だけを深掘りした専用の入口です。
必要な3つだけを先に知りたい方はこちらをチェックしてください。
→ 【2026年版】マカロン屋が「お菓子のネット販売」を始めた全体マップ|必要な3つだけを先に話します
マルシェに何を持っていくか、100回超の実物リストはこちらです。
→ マルシェ出店に必要なものは?店主4年・100回超の現場リストと屋外の落とし穴【持ち物・準備】
▼表示とルールを守る

商品を売るには食品表示(ラベルに書く10項目・2026年時点で9品目のアレルギー表示)が必須です。
うちは食品表示検定(中級)を持つ妻が表示を担当しています。
保険は開業時に、地震保険や商工会議所の年会費まで幅広く加入していました。地震保険は一部損だと保険金額の5%しか出ないと知り(東日本大震災でも7割が一部損でした)、必要のないものを見直しました。
火災・PL(生産物賠償責任)・店舗賠償の3つは、今も継続しています。
商標は2022年10月と2023年7月に1件ずつ出願し、登録できたのは店名「いろはのおと」の1件だけ(出願12,000円+登録32,900円)。
店名やロゴなど、自分の商品・サービスを他と区別する目印を、法律で守ってもらうための登録制度です。屋号や会社名の登記とは別物です。
アレルギー表示を含む10項目の書き方は、実物ラベルでこちらに解説しています。
→ お菓子の食品表示・アレルギー表示の書き方|マカロン店主4年の“実物ラベル”で解説【2026】
地震保険・PL保険を見直した実話はこちらです。
→ 【店主4年】個人事業主の保険・年会費|見直した3選とやめない必須3選【2026】
商標登録に1件落ちて1件通った実体験はこちらです。
→ 商標登録を自分でやってみた|1件落ちて、1件通った実体験【2026年版】
商標登録って自分でできるんだ!
ちょっと意外かも!
意外と簡単にできますよ!ただ拒絶理由通知が来たときは愕然としました(笑)。
▼続ける:立ち止まって考える

マルシェもネット販売も、続けて分かったのは「売上」でなく「手残り」で見る必要があるということです。値上げは怖かったのですが、原価3割・時給5,000円を乗せる基準で判断し、実行しました。
3年出店して分かった「手元に残るお金」の実録はこちらです。
→ マルシェは儲かる?3年出店した店主が「手元に残るお金」を実録で公開
儲かるかどうかを自分で計算する方法はこちらにまとめています。
→ お菓子のネット販売は儲かる?EC4年の店主が手残りの計算式と「アクセスだけでは売れなかった」理由を解説
開業したあとの1年で、売上がどう上がり下がりするかは、うちの4年分をこちらに出しています。
→ ケーキ屋の経営は厳しい?個人店4年の売上の波を月ごとに公開
値上げのときに使った3つの軸はこちらで公開しています。
→ ハンドメイドの値段設定|値段の付け方と原価率を店主の実例で解説
▼よくある質問
Q1. お店を借りるお金がなく、自宅の一室で開業できますか?
A. 菓子製造業許可は、自宅で取ろうとすると電気容量や区画(住居部分と分けた専用の製造室が必要)で難しいことがあります。私も自宅を検討しましたが、同じ理由で7坪の居抜き物件に切り替えました。まずは「まず決める:自宅か店舗か」の章を確認してください。
Q2. 開業の初期投資が高くて不安です。自己資金と借入、どちらを増やすべきですか?
A. 正解は人によりますが、私は自己資金462万円・借入ゼロで開業しました。持続化補助金にも申請しましたが不採択で、そちらは使えませんでした。資金計画の立て方は「お金の計画を立てる」の章で詳しく紹介しています。
Q3. 何から手をつければいいですか?順番はありますか?
A. 私は「まず決める→許可→お金→場所と設備→レジ・決済・会計→売る場所→表示とルール→続ける」の順を目安に進めました。この記事のSTEP順も、その目安の順番に並べています。
Q4. 開業にかかるお金は、許可と設備だけで足りますか?
A. いいえ。許可費用(明石市の例で約2.4万円)と設備費(内装・厨房機器)のほかに、材料・パッケージなどの運転資金が別にかかります。総額の内訳は「お菓子屋の開業、実際いくらかかった?」の記事にまとめています。
Q5. 開業したあとに、追加で決めることはありますか?
A. あります。レジ・決済・会計はもちろん、食品表示(アレルギー表示を含む)・保険・商標登録は開業前後で見落としやすい項目です。私も保険の見直しは開業から数年経ってから行いました。
Q6. 開業まで、どのくらい時間がかかりましたか?
A. うちは、内装の見積もりを取り始めてから開店まで約4か月半でした(2022年3月末に最初の見積もり、8月15日に開店)。物件の契約は7月ごろで、許可の申請から取得までは約3週間です。物件や工事の内容で大きく変わります。
▼まとめ
お菓子屋の開業は、決めることが多く、順番を間違えると後戻りが大きくなります。
この記事の要点は3つです。
- 自宅か店舗か、まず条件で決める
- 許可・お金・設備は、相見積もりと事実の裏取りで進める
- 開店後もレジ・決済・表示・商標・値上げと、決めることは続く
結局、うちの順番を目安に進めればいいんだね。
はい。迷ったら、まずはこの8つのSTEPの順番で大丈夫です。
私自身、8つのうちどれ1つとして「知っていたら楽だった」と思わないものはありません。この記事をその代わりにしてもらえたらうれしいです。
開業までの総額と、許可の取り方を詳しく知りたい方は、こちらもどうぞ。
→ 菓子製造業許可 取り方完全マニュアル|マカロン屋がつまずいたポイントも正直に解説【2026年版】
開業したあとの「売る・お金・お客さん・ラクにする」の記事は、ロードマップに並べています。
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