ハンドメイドの値段の付け方・値段設定|マカロン店主4年の3つの軸
- ✅値段を決める3つの軸が手に入る
- ✅「安すぎる値段」から卒業できる
- ✅原価はならして3割で考えられる
- ✅売れてる店の価格の見方がわかる
- ✅自分の時間もお金に換えられる
- ✅値上げに踏み切る勇気が持てる
- ✅決めたあとの売る場所もわかる
「自分の作ったもの、いくらで売ればいいんだろう?」
ハンドメイド作品でも、お菓子でも、これって本当に悩みますよね。
「周りはもっと安いし、強気な値段にしたら売れないかな」
「でも安くしたら、材料費でほとんど残らない」
「自分の手間賃まで入れたら、高すぎる気がする」
……結局いつも「なんとなく」で決めて、これでよかったのかモヤモヤする。そんな経験、ありませんか?
その気持ち痛いほどわかりますし、事業を始めた個人事業主は誰でも悩む道ですね。心を込めて作ったものに値段をつけるのは、まるで自分自身に値段をつけるみたいで、こわいですよね。
こんにちは、明石で棒付きマカロンのお店を夫婦で4年やっている、いろはです。簿記2級・FP2級を持っていて、毎年自分で確定申告もしています。正直に言うと、私も開業したばかりの頃は「値段をつけるのがいちばん怖い作業」でした。
結論から先に話せば、値段は「原価」「相場」「自分の時給」の3つの軸で決められます。この3つさえ持てば、「なんとなく」が「これでいい」に変わります。実際、私も4年でこの軸を手に入れて、材料費がどんどん上がるなかでも勇気を持って値上げできるようになりました。
この記事では、難しい価格理論ではなく、私が実際にお店でやっている値段の付け方を、材料費高騰のなか勇気を持って値上げしてきた本音ごと正直にお話ししたいと思います!「自分の商品に値段をつけるのが怖い」あなたの背中をそっと押せたらうれしいです。

▼「値段をつけるのが、こわい」——その気持ち、すごくわかります
開業したての頃、私をいちばん悩ませたのは「値段を決める」瞬間でした。
材料費を計算して「これくらいかな?」と思っても、「高いって思われたらどうしよう」「お客さん、来てくれなくなるかも」と、どんどん頭を悩ませてました。
たぶん、ハンドメイド作品を売っている人も同じだと思います。自分が時間をかけて、心を込めて作ったものだからこそ、「高い」と言われるのが、自分を否定されたみたいで怖いんですよね。
値段をつけるのって怖いの?
うん、決める基準や正解がないと、「この値段で買ってくれるかな」って思って怖くなるよね。
でも値段が怖いのは、「決める基準」を持っていないからです。基準さえあれば、値段はえいやっの度胸試しじゃなく、計算と判断になります。

▼結論:値段は「原価・相場・自分の時給」の3つの軸で決める
値段の決め方には、大きく2つの考え方があります。ひとつは「原価に、欲しい利益を乗せる」やり方。もうひとつは「売れている商品の価格をベースにする」やり方です。
私はこの2つを、お店ですぐ使える「3つの軸」に落とし込んでいます。
| 軸 | 見るもの | ひとことで言うと |
|---|---|---|
| 原価 | 材料費・包装・手間 | 「ぜんぶ、ならして3割」 |
| 相場 | 売れているライバル店 | 「人気店をベースに」 |
| 自分の時給 | 作る時間 | 「時給5,000円を乗せる」 |
そして、使うときの順番があります。まず相場で「だいたいのライン」を決め → 次に原価が3割に収まるか確認し → 最後に自分の時給ぶんが残るかをチェック。こうすると、3つがバラバラの計算式ではなく、1本の「判断の流れ」になります。
▼【軸1】原価は「1個ずつ」じゃなく「ぜんぶ、ならして3割」
まず原価。うちのお店は原価率3割を基準にしています。(原価率というのは、売値のうち材料費などの「もと手」がどれくらいか、という割合のこと。600円の商品なら、原価がだいたい180円くらい、というイメージです。)
難しい計算は必要なし。1個の値段は、この2ステップで出せます。
- ① 1個にかかる「もと手」(材料費+包装・ラベル・送料など)を全部たす
- ② その金額を0.3で割る
例:もと手が180円なら → 180 ÷0.3 = 600円(=もと手を約3.3倍する、と覚えてもOK)。逆に「売値600円 × 0.3 = 180円」と戻して、もと手と合えば正解です。これで売値の3割くらいが原価=原価率3割の値段になります。
ちなみに、売値の3割が原価なら、残りの7割で、自分の時給・利益・家賃や販売手数料をまかなうイメージです。だから「時給は、この残りの中から出す」と考えると、3つの軸がひとつにつながります。
ここで、ひとつコツがあります。「1個ずつ全部を原価率3割にしよう」とは思わなくていい、ということです。
商品には、ざっくり2種類あります。
- 集客のための商品(フロントエンド):お客さんが手に取りやすい、入口の商品。利益は薄め。
- しっかり利益をいただく商品(バックエンド):こだわりの一品やオーダー品。利益は厚め。
大事な原則がひとつ。入口の商品は勇気を持って高くしないこと。自分の商品に自信がある人ほど「一番安い商品」まで高くしがちですが、それだと入口が狭くなってお客さんが入ってきてくれません。逆に、こだわりの商品は勇気を持ってしっかり高く。
小さなお店ほど、「厚利少売」——利益のしっかり出るものを、少なく売るが基本です。薄利多売は、体力のある大きな会社の戦い方。私たちのような小さな作り手は真似しないほうがいいです。
そして大事なのは、1個ずつではなく「お店ぜんぶをならして原価率3割」になっていればいい、という考え方。入口は薄くこだわりは厚く。足してならして3割です。
💡ハンドメイド作家さんへ:「3割」はうちの目安で、業種で材料費の比率は全然違います(アクセサリーは材料が安め、革や陶器は高め…など)。大事なのは数字そのものより、「1個ずつでなく、お店全体でならす」という考え方のほう。アクセなら、パーツ代・ラッピング・送料を全体でならして見てみてください。
全部の商品を、原価率3割ぴったりにしなきゃダメ?
ううん、お店ぜんぶでならして3割でもいいんだよ。全部きっちりにしようとすると苦しくなっちゃうからね。
▼【軸2】相場は「売れている店」をベースにする
次が相場つまり「まわりはいくらで売っているか」です。
なぜ、わざわざライバルの値段を見るのか。それは、今ライバルがつけている価格が、すでに「市場の答え」だからです。
人気のお店が今その値段になっているのは、それより高くても安くてもうまくいかなかったから。
- もっと高くしたら、お客さんが減ってトータルでは売れなくなった
- もっと安くしたら利益が残らなくて続かなくなった
つまり、人気商品の値段は、誰かが先に試して、たどり着いた答えなんです。だからゼロから自己流で決めるより、まず売れているお店の価格をベースにするのが、いちばん失敗が少ない。
ただし、ひとつ気をつけたいことがあります。人気店が売れているのは値段が最適だからとは限りません。ブランド力・立地・歴史・常連さんといった「値段以外の強み」で売れている場合も多いんです。だから人気店の値段は「絶対の正解」ではなく「ひとつの目安」。同じ値段でも、無名の新店と人気店では売れ方が違う——そこは頭に置いておいてください。
そのうえで私は、近所のお店とネットの同じジャンルのお店を調べて、まずは真ん中〜やや上に値段を置きます。そして、味・見た目・体験で「その値段に見合う中身」が用意できてきたら、リピートや評判を見ながら一段ずつ上げていく。4年やってきたいまの私は、中身に自信があるので、調べた中の「一番上」に合わせることもあります。でもそれは「到達点」であって、スタート地点ではありません。根拠(中身)もないのに一番高い値段をつけるのは危険。中身が先、値段はあとです。
注意点をふたつ。
💡ハンドメイド作家さんへ:相場は、同じジャンル・同じテイストで「売れている」作家さんを数人見るのがコツ。minneやCreemaで人気順に検索して、数人ぶんの値段をメモすると早いです(お菓子なら近隣店やGoogleマップ)。フォロワーやレビューが多い人=「市場の答え」を持っている人です。
初心者のうちは、オリジナルの値段戦略を試すより、まずは「売れてる人のマネ」から。これがいちばんの近道です。
見た目って値段に関係あるの?
あるよ。商品写真や値札をCanvaで整えると、その値段に納得してもらいやすいんだ
▼【軸3】自分の時給を乗せる(うちは5,000円)
3つ目の軸がいちばん忘れられがちです。それが、自分の作業時間=自分の時給。
ハンドメイドでもお菓子でも、「材料費」は計算するのに、「自分が作っている時間」をタダにしてしまう人が、本当に多いんです。(昔の私もそうでした。)
材料費と同じ値段で売る、なんていうのは、自分の作業賃がまるごとゼロということ。それだと、続けることも、お店を大きくすることも、できなくなってしまいます。
だからうちでは、自分の時給を5,000円と決めてその分を値段に乗せるようにしています。
自分の時給なんて入れてる人いるの?
忘れがちなんだよね。うちは5,000円。正直まだ達成できてないけど(笑)、意識するだけで値段が変わるよ
でも、達成できなくてもいいんです。「自分の時間にも値段がある」と意識するだけで、つけられる値段が変わります。タダ働きを前提にした値段は、いつか必ず自分を追い込みます。あなたの手間は、ちゃんとお金に換えていい。これは声を大にして言いたいです。
💡ハンドメイド作家さんへ:「作業」は、作っている時間だけじゃありません。ビーズを編む時間も、梱包する時間も、発送の準備も、ぜんぶ作業。そこも時給に入れて考えてみてください。
自分の時給が「いくら」乗っているかは、引き算で出せます。
- ① 売値 − もと手(材料費+包装・送料など)− 販売手数料 = 残り
- ② 残り ÷ 1個にかかる作業時間(時間) = いまの実質時給
例:売値500円 − もと手150円 − 手数料50円 = 残り300円。1個15分(0.25時間)なら、300 ÷ 0.25 = 時給1,200円。(※これは計算練習用の数字です。)目標の時給に届かなければ、もと手を下げる・作業を短くする・値段を上げる、のどれかのサインです。
▼【例】3つの軸の重ね方をひとつ通してみる
言葉だけだとイメージしづらいので、ひとつ例で通してみます。(あなたの商品に置き換えて読んでみてください。)
たとえば、手作りの商品を売るとします。
- STEP1:相場で仮置き:同じジャンルの売れている作家さんを3人ほど調べたら、だいたい 500〜700円。→ まずは「600円くらいかな」と仮置き。
- STEP2:原価が3割か確認:材料費・包装・送料などの「もと手」は、600円のうち 3割(=180円) に収まってる?→ 収まっていればOK。オーバーしていたら、仕様を見直すか、値段を上げる。
- STEP3:時給が乗るか確認:作るのにかかる時間 × 自分の時給(うちは時給5,000円)ぶんが、残りにちゃんと乗ってる?→ 乗っていなければ、もと手を下げる・作業を短くする・値段を上げるかのサイン。あせらず、先ほどの式で「いまの実質時給」を出して近づけていけば大丈夫です。
この3つが重なったところがあなたの「これでいい」と言える値段です。
私の棒付きマカロンもこの考え方で 600円 に落ち着いています。でも正直に言うと、3つの軸は、いつもきれいに重なるわけではありません。1種類を仕込むだけで、生地を作って・乾かして・焼いて・サンドして・仕上げて・袋詰めで丸1日(約8時間)。できるのは、大きいサイズで10本・小さいサイズで12本、合わせて22本ほどです。
8時間ぶんの時給(5,000円×8=40,000円)を22本で割ると、理屈の上では1本あたり約1,800円もの手間がかかっている計算。でも売値は600円です。時給を丸ごと乗せたら、誰も買えない値段になってしまいます。
だから現実は、優先順位をつけます。まず原価3割は死守。次に相場(人気店の価格)を超えない。そのうえで、時給は「届く範囲で」乗せる——この順番です。時給5,000円は「いつか届きたい理想の目標」。そこへ少しずつ近づけるために、軸1の「入口は薄く、こだわりは厚く、ならして3割」でお店全体の利益を底上げしていく、
——これが、ハンドメイドの正直なところです。
▼それでも値上げは毎回こわい。でも上げてきました

3つの軸で値段を決めても、値上げはやっぱり毎回こわいです。お客さんが離れないかいつもドキドキします。
でも、ここ数年は材料費がどんどん上がっています。バター、アーモンド、砂糖……作り手なら、痛いほどわかりますよね。だから私は勇気を持って値上げしてきました。
うちの実例で言うと、
- 棒付きマカロン(店頭・イベントの単品):旧「四季」は1本 550円 → いまは 600円
- ミニマカロンポー:300円 → 400円
- マカロンポー(6フレーバー30個入):700円 → 750円
- オーダーケーキも、価格を見直しました(→ オーダーケーキの価格ガイド)
そして、いちばん気になる「値上げのあと、どうなったか」。正直に言うと、一部のお客さんは離れました。でも、多くのお客さんが変わらず支えてくれたんです。上げるたびに心は痛みますが、安いまま続けてお店が立ち行かなくなるほうが、お客さんにとってもずっと悲しいこと。そう考えて、私は値上げに踏み切っています。
▼いちばんダメなのは「お店が続かなくなること」
値段で迷ったとき、私がいつも立ち返る言葉があります。
それは、「いちばんダメなのは、お店が続かなくなること」。
安くしてお客さんに喜んでもらえても、利益が残らずに店をたためばもう二度とその商品を届けられません。
そして私は、値上げは本当に応援してくれるお客さんのためでもあると思っています。お店が健全に続けば、これからも新しい商品を作れる。味も品質も守れる。無理な安売りでギスギスせず、笑顔でお店に立てる。それは、いつも来てくれるお客さんにとっても、うれしいことのはずなんです。
だから値上げは、わがままじゃありません。「これからもずっと作り続けるための、まじめな選択」です。
それに、値付けに「これが永遠の正解」はありません。材料費やお客さんの変化で、正解が不正解に変わっていく。だから、定期的に見直していい。値付けは計算でありながら、ずっと続く調整——いわば「アート」みたいなものだと思っています。
値上げはやっぱり気がひけるよね…
気持ちはわかる。でも、続けられること自体がいちばんのお客さん孝行だと思ってるよ。
▼今日からできる、値段の見直し3ステップ
最後に、「よし、やってみよう」と思えたあなたへ。今日からできる3ステップです。
- 売れてる店を5つ調べる:同じジャンルで人気のお店・作家さんの値段をメモ。だいたいのラインをつかむ。
- 原価がならして3割に収まるか見る:材料費・包装・送料を足して、売値の3割くらいか確認。入口商品は薄く、こだわり商品は厚く。
- 自分の時給を乗せる:売値からもと手と手数料を引いた「残り」を、作る・包む・送る時間で割れば「いまの実質時給」。これが目標に届くか確認します。時給5,000円はうちの理想。最初は1,500〜2,000円でも「時給が乗っている」状態を作れれば十分です。
この3つを通すだけで、「なんとなく」だった値段が、「これでいい」に変わります。
そして——値段が決まったら、次は売る場所。私はネット販売に Shopify を使っていますが、初めての方は BASEやSTORES から始める人も多いです。自分の作品数や手数料に合わせて選んでみてください。数品〜数十品を手数料を抑えて試すならBASE・STORES、本気でブランドとして育てるならShopify——というイメージで選ぶと迷いません。
▼まとめ:値段が怖いあなたへ、3つの軸と、ひとつの勇気
最後に、この記事をぎゅっとまとめます。

値段をつけるのが怖いのは、あなたの商品に価値がないからじゃありません。「決める基準」を、まだ持っていないだけです。
原価・相場・自分の時給。この3つの軸が、ハンドメイドの値段設定(値段の決め方)の土台。この軸を持てば、そして「続けるための値上げは正しい」という勇気を持てば、あなたも自分の作品に、堂々と値段をつけられます。
あなたの手間と時間は、ちゃんとお金に換えていい。その一歩を、心から応援しています。
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▼よくある質問(ハンドメイドの値段の付け方)
Q1. ハンドメイド作品の原価率はどれくらいが目安ですか?
決まりはありません。私のお店は「全商品をならして原価率3割」を基準にしていますが、材料費の比率は業種で大きく違います。大切なのは数字より、1個ずつでなくお店全体でならして考えること。入口商品は薄利、こだわり商品は厚利、足してならして目安に収める考え方がおすすめです。
Q2. 材料費のほかに、何を原価に入れればいいですか?
材料費だけでなく、包装・ラッピング・送料・販売手数料、そして梱包や仕上げの手間も広い意味の原価です。とくに自分の作業時間を入れ忘れる人が多いので、時給として別に乗せて考えると、安すぎる値段を防げます。
Q3. 最初は安く始めて、あとから値上げしてもいいですか?
はい、それでOKです。相場の真ん中〜やや上から始めて、リピートや評判がついてきたら一段ずつ上げていけば大丈夫。「一番上」は到達点で、スタート地点ではありません。実際にうちも何度も値上げしてきました。
Q4. 値段を上げると、お客さんは離れませんか?
正直、一部の方は離れます。でも、値段に見合う中身を用意していれば、多くのお客さんは変わらず支えてくれます。うちも値上げのたびにドキドキしますが、安すぎて店が続かなくなるリスクのほうがずっと大きいと考えています。
Q5. 自分の作業時間は、どう値段に反映すればいいですか?
「自分の時給」を決めて、その分を乗せます。私は5,000円と決めています(達成できない日も多いですが…)。達成の有無より、「自分の時間にもお金がかかっている」と意識することが大切で、それだけでつけられる値段が変わります。
Q6. 値段が決まったら、どこで売るのがいいですか?
ネット販売なら、まずは初期費用をかけずに始められるサービスから試すのがおすすめです。私はShopify公式サイトを使っていますが、初めての方はBASEやSTORESから始める人も多いです。手数料や作品数で向き不向きが変わるので、選び方は「BASE・STORES比較」の記事も参考にしてみてください。
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