マルシェは儲かる?3年出店した店主が「手元に残るお金」を実録で公開
「出店料を振り込んだあと、これ元が取れるんだろうか、と不安になる」
「売上は立ったのに、手元に何も残っていない気がする」
「このまま出店を続けていいのか、やめどきなのか分からない」
マルシェの話って、うまくいった話ばかりが流れてきますよね。
「完売しました!」
「1回の出店で100万円!」
——それを見るたび、売れなかった日の自分がちょっとしんどくなる。
こんにちは。兵庫県明石市で、夫婦で棒付きマカロン専門店を営んでいるいろはです。
マルシェやイベントには月2回以上、4年間で100回以上出店してきました。
先に、いちばん言いにくいことから書きます。
うちは同じ大型マルシェに3年連続で出て、売上は毎年下がっています。
しかも売上以上に、手元に残るお金の減り方のほうが大きいという結果でした。
それでも、今年も出てよかったと思っています。
数字を残していたおかげで、「なぜ下がったのか」と「次に何を変えるか」が分かったからです。
⚠️先にひとつだけ。この記事でいう「手残り」は、売上から出店料・交通費・材料費だけを引いた金額です。自分の人件費や仕込みの時間、税金は引いていないので、会計上の「利益」とは別ものだと思って読んでください。また、店の売上に関わるため実額は伏せ、割合と指数で比べます。
この記事は「マルシェで儲ける方法」ではありません。
出店を続けるかどうかを、自分で判断できるようになるための記事です。
- ✅売上ではなく「手残り」で判断する方法がわかる
- ✅出店前に損益分岐点を計算できるようになる
- ✅3年続けた売上と手残りの変化が見られる
- ✅来場者が増えても売上が増えない理由がわかる
- ✅客数と客単価の見方が身につく
- ✅次に出店するかを決める5つの判断軸が手に入る
なお、この記事では決済の準備までは扱いません。
まだ決めていない方は、うちが屋外出店で4年使っているAirペイも候補になります。カードも電子マネーもこれ1台で受けられるので、屋外のマルシェでも困りませんでした(詳しい使用感はマルシェでエアペイは使える?へ)。
▼最初に見るべきは「売上」ではなく「手残り」
結局マルシェって、売上がいくらだったかで出店してよかったかどうかを判断するんじゃないの?
それだと危ないよね。
売上が10万円でも、手元にほとんど残らないことがあるから。
見るべきは「引いたあとにいくら残るか」ですね。
マルシェの収支は、この式で決まります。
売上 −(出店料+交通費)− 材料の原価 = 手残り
シンプルですが、出店前にこれを計算している人は意外と少ないです。私も最初の数回はやっていませんでした。
💰マルシェのお金は、こう減っていく
※わかりやすくするための計算例です(実際の売上とは異なります)
売上 150,000円 が…
あくまで「現金として残った額」です。
※上の計算例では手元に6割ほど残っていますが、これは出店料が2万円の場合です。
うちが出た大型イベントは出店料がもっと高いので、残る割合は3〜4割まで下がります。
出店料が高いイベントほど、手元に残る割合は小さくなります。
大事なのは、出店料は売れても売れなくても同じ額かかるということ。
とくに大型イベントは出店料が高いので、振り込んだ時点で、その分の費用を先に負担している状態から始まります。
そこから「いくら売れば取り返せるか」を先に知っておくと、当日の見え方がまったく変わります。
うちの今回のケースで言うと、手元に残ったのは売上の3〜4割ほどでした。
残りは出店料・交通費・材料費として出ていった計算です。
| 言葉 | この記事での意味 |
|---|---|
| 手残り | 売上から出店料・交通費・材料費だけを引いた、現金として残る額(人件費・税金は含まない簡易的な金額) |
| 利益 | 手残りから、さらに自分の人件費や税金まで引いた、本当の儲け |
| 損益分岐点 | 赤字にならないために、最低これだけ売る必要があるという売上ライン |
出店料の相場や、応募前に確認したい費用についてはマルシェ出店の始め方でまとめています。
▼今回の出店条件(数字を読むための前提)
収支の数字は、条件が違えば全く変わります。前提だけ先に置きます。
- 会場:屋内・空調ありの大型展示場
- 規模:出店者がとても多い大型イベント
- 日程:2日間
- 原価率:約2割
- ★今年は例年より開催時期が後ろにずれた(=夏の暑い時期・買い物の谷になりやすい)
この「時期がずれた」が、あとでポイントとなってきます。
▼3年間で、売上も手残りも下がり続けた
ここが今回いちばん正直に書くところです。1年目を100とした指数で出します。
📉3年間の変化|手残りのほうが速く減る
1年目を100としたときの変化
1年目
2年目
3年目
出店料は売れても売れなくても同じ額かかるから。売上が下がっても出ていくお金は減らないので、そのぶん手元に残る分が削られます。
| 年 | 売上(指数) | 手残り(指数) |
|---|---|---|
| 1年目 | 100 | 100 |
| 2年目 | 95.5 | 92.2 |
| 3年目 | 84.7 | 73.3 |
注目してほしいのは、手残りの下がり方が売上より急なことです。
理由はシンプルで、出店料と交通費は、売上に関係なく固定でかかるからです。
売上が下がっても固定費は減らないので、そのぶん手残りが削られます。
売上より、手元のお金の減り方の割合が大きいの…?
そうです!
ここが怖いところで、売上だけ見ていると「ちょっと下がったな」で済ませちゃうんだよね。
手残りで見ると思ったよりダメージが大きいですね
ただし、3年目は開催時期が後ろにずれています。
お菓子販売として夏の谷の時期に動いた年なので、過去2年と完全に同じ条件では比べられません。
売上は8割以上を保てたとも読めます(ただし手残りは7割台まで下がっています)。
原因を1つに決めつけないこと。これも数字を見るときの大事な姿勢だと思っています。
▼来場者が増えても、自分の売上が増えるとは限らない
これは2年目に気づいたことです。
2年目は、イベント全体の来場者が約8%増えました。
なのに、うちの売上は約4.5%減っていました。
人が増えたのに売れないなんてことあるの…?
それもありますね。
出店者がすごく多いと、来場者が増えても「自分のところに立ち寄る人」が増えるとは限らないからです。
つまり大型イベントで大事なのは、来場者数そのものより「たくさんのブースの中で、何人が自分の店の前で足を止めて、何人が買ってくれたか」です。
自分の店の売上を左右する要因は思いつくだけでもこれだけあります。
- ブース数が多く、来場者が分散する
- 同じジャンルの出店者(競合)が多い
- 通路の位置や角地かどうかで、立ち止まりやすさが変わる
- 開催時期・天気で、買い物の気分が変わる
- 商品の単価と「持ち帰りやすさ」の組み合わせ
だから「売れなかった=自分の商品が悪い」と結論を急がなくていいです。
自分でコントロールできない要因もかなり大きいので。
見せ方や立ち止まってもらう工夫はマルシェのディスプレイ決定版にまとめています。
▼売上がほぼ同じでも、1日目と2日目で中身は真逆だった
今回いちばん面白かった発見です。2日間の売上はほぼ同額でした。
でも中身がまるで違いました。
- 1日目:お客さんの数は少なめ。でも2点買ってくれる人が多く、客単価が高かった
- 2日目:人はたくさん来た。でも1点だけ買って次へ行く人が中心で、客単価は低め
売上の数字だけ見ていたら、「どっちも同じくらい売れたね」で終わっていました。
客数と客単価に分けて記録していたから、中身が真逆だと分かったんです。
これが分かると、次の準備が変わるんだよね。
人が多い日は数を多めに、単価が上がる日は少し高いセットも用意する——同じ売上でも、備え方が違ってきます。
売上 = 客数 × 客単価。
※ここでいう客数は買ってくれた人の数です。会場の来場者数や、ブース前を通った人数とは別ものです。
売上が変わったとき、客数と客単価のどちらが影響したのかは、分けて記録しないと分かりません。うちも過去2年は客数を数えていなくて、今年からやっと比べられるようになりました。もし今から記録を始めるなら、客数だけでもメモしておくことを本当におすすめします。
▼午前中に売れたのは、冷蔵品ではなく「持ち帰りやすい」商品
次回いちばん変えようと思っていることです。
今回午前中に完売したのは、常温で持ち歩ける一口サイズの焼き菓子でした。
逆に、要冷蔵の商品は動きがゆっくりだったんです。

味とか見た目じゃなくて?
もちろんそれもあるけど、「このあとも会場を回るから、溶けないものがいい」ってお客さんの気持ちが大きいんだと思う。
会場内をまだまだ歩いて散策するからね。
考えてみれば当たり前で、お客さんは買ったあとも何時間も会場を歩き、電車で帰ります。
「持ち帰りやすさ」も買う理由のひとつになっていた
——今回はそう考えています。
ただし味や見た目、価格の影響もあるので、次回も同じ傾向になるか確かめるつもりです。
だから次回は、冷蔵品を減らして、常温の焼き菓子を増やします。
なお、今回は屋内・空調ありの会場だったため、保冷面で大きな問題はありませんでした。ただし会場条件によって大きく変わりますので、詳しくはマルシェ出店に必要なものをご覧ください。
▼キャッシュレスは増えた。でも売上を伸ばす主役ではなかった
3年間で、キャッシュレスで払う人の割合は約2割から3割近くまで増えました。
ただ、正直に言うと——決済手段を増やしたから売上が伸びた、という実感はありません。
キャッシュレスは「売上を増やす攻めの手段」ではなく、「現金がないから買えない」という取りこぼしを防ぐ保険です。
用意していないと、現金を持っていない人の購入機会を逃すことがあります。
でも、用意しただけで増えるものでもありません。
エアペイが実際どうだったかはマルシェでエアペイは使える?、決済手段の組み合わせは個人事業主のキャッシュレスへ。
うちはエアペイを使っています。売上が自動的に増えるものではありませんが、「現金がなくて買えない」の取りこぼし防止には役立ちました。
▼3年下がっても出店するかは判断できる
ここまで下がった話ばかりしてきましたが、うちは「失敗した」とは思っていません。
同じイベントに出続けたからこそ、売上だけでは見えない変化を比べられたからです。
出店を続けるか迷ったとき、私はこの5つで考えます。
1. 手残りは、自分の時間に見合っているか
手残り(=売上から出店料・交通費・材料費を引いた額)を、仕込み・移動・設営・撤収の時間で割ってみる。時給にすると納得できるかどうか。自分の基準は、申し込む前に決めておくと迷いません。
2. 客数と客単価、どちらに改善の余地があるか
客数が少ないなら「見せ方・立ち止まらせ方」など複数の要因を確認する。客単価が低いなら「商品構成・セット売り」を考える。打ち手が変わります。
3. 商品構成を変えたら、結果が変わりそうか
うちの場合は「冷蔵品を減らす」という具体的な仮説が立ちました。ただし「試す」と決めたら、確かめる回数と数字も先に決めます。たとえば「次の1〜2回で、手残りと客単価がどう動くか見る」。それで変わらなければ、会場や出店そのものを見直します。
4. 会場・開催時期・出店頻度を見直す余地はあるか
それでも変わらなければ、イベントそのものを見直す。これは逃げではなく、判断です。
5. その日の売上以外に、持ち帰れたものはあるか
マルシェは「売る場所」であると同時に、知ってもらう場所でもあります。
まず1〜4で手残りを確認したうえで、あとで来店やネット注文につながる可能性を、別の効果として見ます。そのためにチラシやショップカードは必ず持っていきます。
実際、前回別のイベントに出たあと、そこで出会った方がオーダーメイドのマカロンを買いに来てくださいました。
その日の売上には入っていませんが確かに出店の成果です。
今回も「去年も買いました」「Instagramで見てました」と声をかけていただきました。
過去の出店やSNSが、知ってもらうきっかけになっている手ごたえは感じています。
ただし正直に言うと、それがどれだけ売上につながったのかまではまだ測れていません。
⚠️ただし、これは「赤字でもいい理由」にはなりません。効果を確かめていなければ、ただの願望です。難しいことはしなくていいので、こんなことだけ記録しておくと違います。
うちもまだ、完璧には測れていません。それでも「去年も買った」という声は、確かな手ごたえになっています。
今回は手残りが出たこと、そして今後の来店や注文につながりそうな声をいただけたことから、すぐにやめる理由はないと判断しました。
でも準備の時間まで入れて考えると、同じやり方で続けるかは考えどころです。
次は商品構成やディスプレイを変えて、挑戦していきたいと思います。
▼あなたの場合はどうなる?(計算してみましょう)
自分の数字に当てはめてみてください。
ここではうちの実績とは別の、仮の数字で計算します。
💡「自分の原価率が分からない」という方へ。原価率は「材料費 ÷ 売る値段」です。1個500円のお菓子に材料費が100円かかっていれば、原価率は2割。ただし2〜3割はあくまで仮置きの数字です。できれば直近の仕入れから計算してみてください。分からないときは低めに見積もらず、少し余裕を持った数字で試算するほうが安全です(包装資材など、材料費以外の費用もかかる場合は、そのぶん足してください)。
値段の付け方はこちらの記事でも紹介しています↓
🎯申し込む前に、これだけ計算しよう
「損益分岐点」= 最低これだけ売らないと赤字、という金額
(出店料 + 交通費)÷ 0.8
※原価が「売上の2割」の場合。原価3割なら ÷ 0.7
より正確に出すなら、包装資材や決済手数料も足します。材料2割+包装1割なら「÷0.7」が目安です。
計算例
(20,000円 + 5,000円)÷ 0.8 = 31,250円
この金額を超えると、少なくとも出店料と交通費は回収できるという目安になります。
⚠️これは材料費だけを原価とした「簡易的な目安」です。包装資材・決済手数料・廃棄が出る場合は、必要な売上はもう少し増えます。ざっくりの目標として使ってください。
自分の出店に当てはめるなら、次の項目を先に埋めてみてください。
| 埋める項目 | 例 |
|---|---|
| 出店料 | 20,000円 |
| 交通費 | 5,000円 |
| 原価率 | 2割(分からなければ2〜3割で仮置き) |
| 損益分岐点 | (出店料+交通費)÷0.8=31,250円 |
この金額を、出店を申し込む前に出しておく。
それだけで「元が取れるだろうか」という漠然とした不安が、具体的な目標に変わります。
当日も「あと◯円」と分かるので、気持ちがまったく違います。
この計算は、黒字を目指すためだけのものではありません。
「今回は宣伝と割り切って出よう」と考えることもあります。でもそのとき大事なのは、「いくらまでなら宣伝費として許せるか」を、申し込む前に決めておくことです。
- この出店で、出ていくお金は合計いくらか(出店料・交通費・材料費のほか、包装資材・決済手数料・売れ残りの分も)
- 最悪、まったく売れなかったら、いくら損するか
- その金額を、宣伝費として納得できるか
ここまで出しておけば、「なんとなく赤字」ではなく「想定内の投資」になります。逆に、ここを決めずに出続けると、赤字が積み重なるおそれがあります。
▼よくある質問(FAQ)
Q. マルシェの売上はどのくらいですか?
A. 商品単価・会場規模・客層で大きく変わるので、一概には言えません。大事なのは売上の額そのものより、出店料・交通費・原価を引いたあとに何が残るかです。うちの場合、大型イベントで手元に残ったのは売上の3〜4割ほどでした(人件費・準備時間は含みません)。
Q. マルシェ出店は儲かりますか?
A. 売上だけでは判断できません。出店料・交通費・原価に加えて、仕込みや移動の時間まで含めて、最終的に何が残るかで考える必要があります。「儲かる/儲からない」より「自分の条件で手残りが見合うか」で判断するのがおすすめです。
Q. 来場者が多いマルシェなら、売上も増えますか?
A. 必ずしも増えません。うちは来場者が約8%増えた年に、売上は約4.5%減りました。ブース数が多いと来場者が分散するためです。来場者数より「自分の店に何人立ち寄るか」が重要です。
Q. 夏のマルシェで冷蔵品や生菓子は売れますか?
A. 会場条件によります。今回は屋内・空調ありの会場で、保冷面の問題はありませんでした。ただし常温で持ち帰りやすい商品のほうが先に売れたのも事実です。屋外や空調の弱い会場では、条件がまったく変わります。
Q. 出店の記録は何を残せばいいですか?
A. 最低でも売上・客数・出店料・交通費の4つです。客数を残しておくと、売上が下がったときに「客数が減ったのか、客単価が下がったのか」を切り分けられます。うちは過去2年これを怠っていて、比較ができませんでした。
Q. マルシェは赤字でも出る価値がありますか?
A. その日の売上だけが成果とは限りません。うちも以前、別のイベントで出会った方が、後日オーダー品を買いに来てくださいました。ただし「宣伝になるから赤字でもいい」と考えるのは危険です。申し込む前に「いくらまでなら宣伝費として許せるか」を決めておき、あとで「マルシェで見た」と言われた回数などを記録して確かめてください。
▼まとめ:数字を残せば、続けるかどうかを自分で決められる

今回は売上が下がっている話をあえて書きました。(すごい恥ずかしいです(笑))
うまくいった話ばかりの中で、「ちゃんとやっていても下がることはある」と知っておくのは、読者にとってたぶん役に立つと思ったからです。
大事なのは、下がったかどうかより、下がった理由が分かるかどうか。
数字を残していれば、続けるかやめるかを、人の意見ではなく自分で決められます。
次の出店はまずは損益分岐点だけ計算してみてくださいね!
今回の記事は参考になりましたか?
感想や質問があれば、お気軽にご相談ください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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