「お店の名前、商標登録しておくべき?」
「弁理士さんに頼まないと難しい?」
「もし誰かに先に取られたらどうなるの?」

私も2022年の開業時に、同じことを考えていました。
マカロンの写真をSNSに上げるうちに少しずつ名前を覚えてもらえるようになって、「この名前、先に取られたらどうしよう」とふと不安になったことを思い出します。

こんにちは。兵庫県明石市で、夫婦で棒付きマカロン専門店を営んでいるいろはです。

2023年に、お店の名前「いろはのおと」を弁理士さんに頼まず、自分で商標登録しました(商標登録 第6764387号)。

当時の私は、資格試験の勉強で商標の制度をほんの少しかじっていました。
だから正直「わりと簡単に出せるんじゃない?」と思っていました。

結果は――2件出して、通ったのは1件だけ。
自分で出せます。でも結論簡単ではなかったです。

商標って、大きい会社がやるものだと思ってたよね。
うちみたいな小さいお店でも取れるの?

取れました。ただし1回失敗して、1回成功です(笑)
その全部をこの記事に書きますね。

この記事では、「商標ってそもそも何?」の段階から、費用・手順・失敗までまとめて整理するための記事です。
うまくいった話だけでなく、拒絶された話と、お金が戻ってこなかった話も込みで書きます。

📋この記事からわかること
  • 商標登録がどういう制度か、屋号・会社名との違いからわかる
  • 自分で出すといくらかかるか(出願料・登録料・電子化手数料)がわかる
  • ✅届いた拒絶理由通知の中身と、何がダメだったのかが読める
  • 無料の相談窓口(全国47都道府県)が、実際にいくら守ってくれたかがわかる
  • ✅自分で出すときの3ステップと、つまずきやすい5つの点がわかる
  • 先に取るべきは商品名か、お店の名前かの答えが決まる

✅この記事が向いている人

  • お店や商品の名前を守りたいと思いはじめた人
  • 弁理士さんの費用を見て「自分でできないかな」と思った人
  • 失敗したらどうなるのかを先に知っておきたい人

🙅向いていない人

  • 絶対に通したい人(審査の見立てはプロの領域。弁理士さんに相談を)
  • ロゴや複数区分など複雑な出願をしたい人(この記事は文字1件・1区分の話です)

▼先に結論|2件出して、通ったのは1件だけ

先に結論から書きます。2022年10月から2023年12月にかけて、私は2件の商標を自分で出願しました。結果はこうです。

出願した商標時期結果
棒付きマカロン2022年10月拒絶(意見書は出さず終了)
いろはのおと2023年7月登録(2023年12月21日)

えっ、落ちることもあるんだ!?
そのお金って、戻ってくるの?

1円も戻ってきません…。
この話はお金の章で詳しく書きますね。

登録できたのは、お店の名前である「いろはのおと」1件だけでした。
いちばん最初に、いちばん取りたかった「棒付きマカロン」は落ちました。

この記事は「自分でも出せますよ」という話ではありますが、「簡単ですよ」という話ではありません。
2件出して、通ったのは1件です。
それでも、弁理士さんに頼まなくても手続きそのものは自分でできましたし、途中は無料で相談に乗ってもらえました。そのやり方を書きます。

▼商標登録ってなに?|屋号や会社名とは別物です

商標がなにを守るものかを示した図解。名前・ロゴ(例:いろはのおと)と、使う分野(例:お菓子・第30類)をセットで指定して、はじめてその分野の中でだけ名前を独占できるようになることを、足し算とイコールの形で示している。屋号や会社名の登録では名前は独占できないことも注記。

まずここからです。
私も最初、まったく分かっていませんでした。

商標登録とは、名前やロゴを「この商品・このサービスの分野で、自分だけが使える」ようにする手続きです。

登録されると「商標権」という権利がもらえて、他人が同じ分野で似た名前を使っていたら「やめてください」と言えるようになります。

ここで大事なのが、「開業届に書いた屋号」や「会社の登記名」とはまったく別物だということ。
私は長い間開業届に屋号を書いた時点で名前が守られていると思い込んでいましたが守られていません。

開業届に屋号を書いたら、それでもう守られてるんじゃないの?

私もそう思っていました。
でも開業届は税務署への「はじめます」の報告だけで、名前の独占とは無関係なんですよね。

手続き出す先名前を独占できる?
開業届の屋号税務署できない(同じ屋号の人がいてもOK)
会社の登記名法務局ほぼできない(同一住所でなければ登記可)
商標登録特許庁できる(指定した分野の中で)

屋号の決め方や開業届そのものについては、個人事業主の開業届の作り方にまとめています。

あわせて読むと「どこまでが守られていて、どこからが守られていないのか」がはっきりすると思います。

商標は「名前だけ」では取れない

商標を出すときは、名前だけを書けばいいわけではありません。
「どの商品・サービスで使うか」を必ず指定します。
これを「区分(くぶん)」といって、全部で45種類あります。

💡用語解説|区分(くぶん)と指定商品
  • 区分=商品・サービスのジャンル分け。第1類〜第45類まであります。お菓子は第30類
  • 指定商品=その区分の中で、具体的に何に使うか。私は第30類の「マカロン」で出しました。
  • 🔴区分の数だけ費用が増えます。お菓子とカフェの両方で取りたいなら2区分=費用も約2倍です。

つまり「その名前を、世の中のあらゆる場面で独占できる」わけではありません。
私が持っている「いろはのおと」の商標権も、効き目があるのは第30類のマカロンの分野だけです。

▼自分で出す手順|やること3ステップ

ここからは、実際に私がやった手順です。特別なことはしていません。
この3つだけです。

①J-PlatPatで、無料で調べる

最初にやるのは、その名前がもう誰かに取られていないかを調べることです。「J-PlatPat(ジェイプラットパット)」という無料のサイトで、誰でも検索できます。会員登録もいりません。

J-PlatPatの簡易検索画面。特許・実用新案・意匠・商標についてキーワードを入れて検索できる。調べたい名称を検索するだけでよい

取りたい名前を入れて、似たものが出てこないか。
出てきたら、それが自分と同じ区分かどうか。
ここでアウトなら、そもそも出願料12,000円を払う前に分かります。

J-PlatPatで「いろはのおと」を検索した結果画面。商標に1件ヒットし、2023年の商標登録出願・区分30・標準文字商標と分かる。検索して出た場合は出願できない可能性がある

私はこのあとも、出願が受理されたか、審査待ちになったか、公開されたかを、ずっとJ-PlatPatで確認していました。
進み具合が自分で見られるので、待っている間の不安がかなり減ります。

②知財総合支援窓口に相談する(無料)

これがいちばん伝えたいことです。「知財総合支援窓口」という無料の相談窓口が、全国47都道府県にあります。国(INPIT)が運営していて、利用は無料。予約して行けば、専門の担当者が話を聞いてくれます。

私は兵庫県の窓口に、合計3回足を運びました。1回目は「商標を取りたいんですけど何から始めれば」という段階。そこで願書のひな形と書き方ガイドをもらって帰りました。

そういう相談って、お金かかるんじゃないの?

何回行っても無料です。
メールの添削まで無料でした。
正直ここを使わない手はないと思います!

そこからは、
自分で書いてメールで送る

直すところを指摘してもらう

直して送る
これの繰り返しです。私の場合は2往復で仕上がりました。
拒絶理由通知が届いたときも、そのまま相談に乗ってもらえました。

💡知財総合支援窓口(INPIT)
  • INPIT(工業所有権情報・研修館)という国の機関が運営。利用は無料。全国47都道府県に設置されています。
  • 商標だけでなく、特許・意匠(デザインの権利)・ノウハウの守り方まで相談できます。
  • ⚠️支援のやり方は窓口や時期によって変わります。私が使った2023年5月にも運用変更がありました(書面の確認は原則、窓口で行う形に)。まずは電話で聞くのが確実です。

知財総合支援窓口での相談のハードルが高い場合

商工会や商工会議所で「商用について相談したい」と相談すれば、話を通してくれます。

私自身も最初は商工会議所で相談して案内してもらいました!
こちらのほうが聞くことのハードルも難しくないのでおすすめです。

③願書を書いて、特許印紙を貼って出す

願書はA4で数枚の書類です。私はWordで作りました。
書くのは、取りたい商標、区分と指定商品、自分の住所と氏名。それに整理番号という管理用の番号を自分で決めて振ります。
願書のテンプレートや書く内容は知財総合支援窓口の担当の方が教えてくれました。

そこに12,000円ぶんの「特許印紙」を貼って、特許庁に郵送します。
特許印紙は収入印紙とは別物で、大きめの郵便局で買えます。

ここまでで、私が実際に使ったのはWordと、郵便局と、無料の相談窓口だけです。
専門のソフトも、有料サービスも使っていません。

▼つまずいた5つのポイント(正直な失敗談)

手順としてはシンプルなんですが、細かいところで何度もつまずきました。
ここが「自分で出すのは、簡単とまでは言えない」と書いた理由です。

①整理番号は「半角」ではなく「全角の大文字」

自分で決める管理番号なので好きに書けばいいと思っていたら、書式が決まっていました。私は半角で書いていて、窓口に直されました。こういう細かい書式ルールが、素人には見えません。ここが、無料で見てもらう価値のいちばん大きいところだと思います。

②紙で出すと「電子化手数料」の請求が来る

出願して2週間ほどしたら、知らない団体から支払いの案内が届きました。びっくりして窓口に「これ大丈夫ですか」とメールしたのを覚えています。

これは紙で出した書類を、特許庁がデータに打ち直すための費用です。金額は2,400円+800円×枚数。出願料12,000円とは別に必要で、払わないと手続きが却下されます。
ネット出願(電子出願)なら、この費用はかかりません。

③「識別番号」は、最初は持っていない

書類に「識別番号」という9桁の番号を書く欄があります。初めての出願なら、まだ持っていません。出願したあとに特許庁から通知が来て、そこで初めて自分の番号が分かります。

私は登録料を払う段になって「自分の識別番号ってどこで見るんだろう」と分からなくなり、窓口に聞きました。知らないと詰むポイントなので、先に書いておきます。

④拒絶理由通知への返事は40日以内

忘れたころに「拒絶査定」という最終通告が届きます。私の場合は5か月後の7月でした。窓口の方いわく「審査官は一定期間応答がないと判断して、忘れたころに拒絶査定を出してきます」。逆に言えば、拒絶理由通知なしでいきなり拒絶査定が来ることはありません。反論するにしても、指定商品を直すにしても、原則40日以内。私は届いた翌日に窓口へメールしました。相談の予約が取れるまでにも日数がかかるので、動くなら早いほうがいいです。

⑤取り下げても、出願料は戻らない

お金の章にも書きましたが、いちばん覚えておいてほしいところなのでもう一度。拒絶されても、途中で自分から取り下げても、12,000円は返ってきません。

だからこそ手順①のJ-PlatPatでの下調べと、②の無料相談が効果があります。
出す前にどれだけ潰せるかが、そのまま金額になります。

▼かかったお金|出願12,000円+登録料32,900円

いちばん知りたいところだと思うので、先に金額を出します。
すべて1区分あたり・2026年8月時点の金額です(2022年4月の改定以降、変わっていません)。

払うタイミング名前金額(1区分)
出願するとき出願料12,000円
紙で出した場合電子化手数料3,200円〜
登録が決まったとき登録料(10年分)32,900円
10年後更新登録料(10年分)43,600円

計算式も書いておきます。出願料は「3,400円+8,600円×区分数」なので、1区分なら12,000円。電子化手数料は「2,400円+800円×枚数」なので、願書が1枚なら3,200円です。

つまり1件を登録まで持っていくのに、最低44,900円。
ここに紙で出すなら電子化手数料が乗ります。
私は紙で出したのでこれも払いました。

登録料は5年分割もできる(でも割高)

登録料は10年分をまとめて払う(32,900円)ほかに、5年ずつ分けて払うこともできます。ただし前期5年17,200円+後期5年17,200円=34,400円で、合計すると1,500円高くなります。

「10年も続くか分からないから半分だけ」という選び方はできますが、続ける気があるなら一括のほうが安いです。私は10年一括で払いました。

私が実際に払った合計

内容金額
出願料 × 2件24,000円
登録料(1件・10年分)32,900円
小計56,900円
電子化手数料(紙出願分)実額の記録なし

恥ずかしながら、電子化手数料の実額は記録が見つかりませんでした。
2件とも紙で出したので、願書が1枚なら1件3,200円、2件で6,400円前後を払っているはずです。ここは「はず」としか書けません。

🔴拒絶された「棒付きマカロン」の出願料12,000円は、1円も返ってきません。

出願料は「審査してもらうための料金」なので、審査した結果が拒絶でも、途中で自分から下げても、そこは変わらないということです。登録できた1件の裏で、12,000円は戻ってこなかった計算になります。

受験料みたいなものってこと?
落ちても返ってこない…

う…その例えが一番近いです。
だから出す前の下調べが大事なんですよね。

自分で申請して落ちた経験でいうと、持続化補助金に落ちた話もあわせて書いています。落ちた側の記録は世の中に少ないので、そこはできるだけ残すようにしています。

▼拒絶理由通知の中身|「棒付きマカロン」はなぜ落ちたのか

2023年2月、特許庁から1通の封筒が届きました。「拒絶理由通知書」です。届いた実物の1枚目が、こちらです。

特許庁から届いた拒絶理由通知書の実物。商標登録出願の番号と、適用条文として商標法第3条第1項第3号及び第4条第1項第16号が記載され、意見はこの書面発送の日から40日以内に意見書を提出するよう書かれている
実際に届いた拒絶理由通知書(氏名などは隠しています)。タップすると大きく見られます

正直に書くと、めちゃくちゃヘコみました。
うちの看板商品で、どうしても守りたかった名前だったので。

💡用語解説|拒絶理由通知書とは
  • 審査官が「このままだと登録できません」と理由を書いて送ってくる書類。この時点ではまだ不合格ではありません。
  • 反論する書類(意見書)や、指定商品を直す書類(手続補正書)を出して、ひっくり返せることもあります。
  • 🔴返事の期限は、発送日から原則40日。放っておくとそのまま拒絶が確定します。

①「棒」+「付き」+「マカロン」に分解された

通知書を読んで驚いたのが、審査官が「棒付きマカロン」という言葉を、辞書を引いて3つに分解していたことです。「棒」はこういう意味、「付き」はこういう意味、「マカロン」はこういうお菓子。だから全部つなげると「棒が付いたマカロン」という、商品の中身をそのまま説明しているだけの言葉ですよね、と。根拠として引かれていたのは、広辞苑でした。実物のこの部分です。

拒絶理由通知書の別掲部分の実物。広辞苑第七版を根拠に、「棒」は手に持てるほどの細長い木・竹・金属などの称、「付き」は上の語の表すものが付属している意を示す、「マカロン」は卵白・粉末アーモンド・砂糖でつくる小さな円形の洋風干菓子、と3つの言葉に分解されている
通知書の実物。本当に辞書で1語ずつ分解されています(タップで拡大)

辞書で分解!?そんな調べ方をされるんだ…

正直、読んだ瞬間は「そこまでやるの」と思いました。でもそれだけ丁寧に審査されているということでもあるんですよね。

根拠にされたのは商標法3条1項3号という条文です。
ざっくり言うと、こういうルールです。

💡商標法3条1項3号をかみくだくと

商品の中身・形・材料・産地をそのまま説明しているだけの名前は、ひとりじめできない。

たとえば「甘いチョコレート」「大きいパン」のような言葉を、誰か一人が独占してしまうと、他のお店が自分の商品を説明できなくなってしまいます。だからそういう言葉は登録できません。

言われてみれば、そのとおりなんです。うちが「棒付きマカロン」を独占してしまったら、他のお店は棒の付いたマカロンを「棒付きマカロン」と呼べなくなる。
ヘコみましたが、理屈としては納得しました。

②棒のないマカロンに使うと「品質の誤認」になる

もうひとつ挙げられたのが商標法4条1項16号
こちらは「品質の誤認」というルールです。

私は指定商品を第30類の「マカロン」と書いていました。ということは、棒が付いていないふつうのマカロンにも「棒付きマカロン」と付けられてしまう。それはお客さんが誤解しますよね、という指摘です。

これは実は、指定商品を「棒付きのマカロン」に直せば解消できたかもしれない部分です。実際、私は窓口に「指定商品の補正案を相談したい」とメールを送っています。
ただ、直せたとしても解消するのは②だけで、本丸の①はそのまま残ります。

それでも意見書を出さなかった理由

2023年3月、相談窓口に行ったあと、私は特許庁に直接電話をかけました。
素人が電話していいのかドキドキしましたが、ふつうに答えてもらえました。

返ってきた答えは、はっきりしていました。
「棒付きマカロン」という言葉から特定のブランドを思い浮かべてもらうのは難しく、商標登録には向かない。

実は3条1項3号で引っかかっても、「その名前を聞けばあのお店だ、と世間に知られている」ことを証明できれば登録できる道があります。そこで「いろはのおとは知られていると言えないか」と粘って聞いてみました。

返ってきたのは、「最低でも日本全国規模。検索すれば数百万〜数千万件出てくるレベル」という水準の話でした。兵庫県明石市の小さなマカロン屋がまだまだ届く数字ではありません。

弁理士さんにも相談しましたが、結論は変わりませんでした。
ここで私は意見書を書くのをやめました。正直に言えば、書きたかったです。
守りたい気持ちはありました。でも、勝てない勝負に時間とお金を積むのは違うと判断しました。

▼振り返り|先に取るべきだったのは、お店の名前でした

商品名より、お店の名前が先でした

私は最初、看板商品である「棒付きマカロン」から出願しました。
売れている商品の名前だから、そこを守るのが当然だと思っていたんです。

でも結果として、商品の中身を説明しているだけの名前は、うちの知名度では取れない構造でした。いっぽうでお店の名前「いろはのおと」は、商品の説明にはなっていない。だからすんなり通りました。

「いろはのおと」は2023年7月に出願して、11月に「登録できます」という通知(登録査定)が届きました。登録料32,900円を納めて、12月21日に登録。そうして届いたのが、この登録証です。

いろはのおとの商標登録証。登録第6764387号、標準文字、指定商品は第30類マカロン、出願日2023年7月5日、登録日2023年12月21日。商標権者の住所と氏名は隠した加工済みの写真
届いた商標登録証(住所・氏名は隠しています)。タップすると大きく見られます

実はもう1つ、「いろはのマカロン」という商品名でも願書を作っていました。でも、窓口で見てもらったときにこう言われたんです。

「2件ありますが、1件に絞ったほうがいい。『いろはのおと』であれば登録可能性が高いと思います」

その助言に従って、「いろはのマカロン」は特許庁に出す前にやめました。商品名を1つ守るより、お店の名前そのものを守るほうが大事だと判断したからです。商品はこの先も増えたり変わったりしますが、お店の名前は変わりません。

そして結果的に、この一言が12,000円を守ってくれました。もし2件とも出していたら、通らなかったほうの出願料は戻ってきません。無料の窓口に見せただけで、出す前に1件減らせた。これが、私がこの記事でいちばん伝えたいことです。

もしこれから取る方がいたら、まずお店の名前・ブランド名。商品名はそのあと。
これは実際に自分で出してみた実感として、はっきりおすすめできます。

®マークは、登録前に付けたら違法

知らずにやってしまいそうなので書いておきます。登録が完了していない商標に「®」を付けるのは、商標法74条で禁止されています。罰則もあります(商標法80条・3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金)。

「出願中だから、そろそろ付けてもいいかな」はアウトです。
付けていいのは登録が終わってから。なお「™」のほうは日本の法律で決まりがないので、出願中でも使えます。

守るのは「名前」だけでいい

2023年の秋、窓口の方から「調理の工程そのものも守れますよ」という提案をもらったことがあります。うちのマカロンの作り方を、ノウハウとして保護するという話です。

検討した結果、これはやらないと決めました。理由は、作り方は隠すものじゃないと思っているからです。ノウハウはできるだけ公開して、他の事業者さんや、これから始める人と切磋琢磨したい。そのほうが結果的にお菓子の世界が広がると思っています。

ただし、作り方を公開することと、名前を真似されていいことは、別の話です。お客さんが「いろはのおと」を目印にして選んでくれているなら、その目印だけは守る。商標に3年つきあってたどり着いた結論は、そこに落ち着きました。

このブログで作り方や失敗をそのまま書いているのも、同じ理由です。
菓子製造業許可の取り方も、法人化しないと決めた理由も、隠さず出しています。

▼よくある質問(FAQ)

Q. 商標登録には、どのくらい時間がかかりますか?

私の場合、「棒付きマカロン」は出願から約4ヶ月で拒絶理由通知が届き、「いろはのおと」は出願から登録まで約5ヶ月半でした。審査の状況で変わるので、あくまで目安にしてください。

Q. 「™」と「®」は何が違うんですか?

®は「登録済みの商標」の印で、登録前に付けることは商標法で禁止されています(罰則もあります)。™には日本の法律上の決まりがなく、出願中でも使えます。登録が終わるまでは®を付けないのが安全です。

Q. 名前がもう取られていないか、どこで調べられますか?

INPITが運営する無料サイト「J-PlatPat」で、誰でも調べられます。会員登録も不要です。私も出願前の確認から審査の進み具合まで、ずっとJ-PlatPatを見ていました。

▼まとめ|自分で出せます。ただし、簡単ではありません

商標を出す前に覚えておく5つのまとめ図解。屋号や登記では名前は守られない、出す前にJ-PlatPatで無料チェック、相談は知財総合支援窓口へ(無料)、落ちても取り下げても出願料は戻らない、先に取るのは商品名よりお店の名前

長くなったので、最後にまとめます。

📝この記事のまとめ
  • 弁理士さんに頼まなくても、手続きは自分でできる。私はWordと郵便局と無料の窓口だけで登録まで行きました
  • 2件出して、通ったのは1件だけ。1件目は拒絶されました
  • 費用は1件44,900円(1区分)。出願料12,000円+登録料32,900円。紙で出すと電子化手数料が別途
  • 🔴落ちても取り下げても、出願料は戻らない。だから出す前の下調べと無料相談がそのまま節約になります
  • 商品の中身をそのまま表す名前は取れない。「棒付きマカロン」はここで落ちました
  • 先に取るべきはお店の名前。商品名はそのあと

失敗も込みで聞けたから、なんか出せる気がしてきた!

調べて、相談するところまでは無料ですからね。
そこまでやってから決めれば大丈夫です。

「商標なんて大企業の話でしょ」と、私も思っていました。でも実際に取ってみると、小さいお店ほど、名前しか持っていないという気もしています。設備でも資本でも量でも勝てないぶん、覚えてもらった名前が資産になる。

もし今、名前を守るか迷っている方がいたら、まずJ-PlatPatで検索して、地元の知財総合支援窓口に電話してみてください。どちらも無料です。そこまでは1円もかかりません。

私は1件落としましたが、通った1件は、いまも店の名前を守ってくれています。

※この記事の金額・制度は2026年8月時点のものです。手数料や運用は変わることがあるので、実際に出願される前に特許庁・INPITの公式ページで最新の情報をご確認ください。

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いろはさん
兵庫県でマカロン専門店「いろはのおと」(https://iroha-no-oto.com/)を妻と2人で営む、個人事業主4年目の店主です。元メーカー勤務の非エンジニア。菓子の製造は妻(パティシエ)、私はEC・SNS・会計・事務まで裏方をひととおり担当しながら、AI(Claude Code)・個人事業主のお金・店舗運営のリアルを“エアプなし”で正直に発信しています。(FP2級・簿記2級/中小企業診断士は勉強中) 📣 記事の更新はXでお知らせしています → @irohanote168 をフォロー