わくわく広場は売れない?儲かる?出品から閉店まで見届けたマカロン店主の全記録
「わくわく広場に出したら、本当に売れるの?」
「手数料を引いたら、いくら残るの?」
「うちみたいな小さな店でも、出品できるの?」
産直コーナーで他の生産者さんの商品を見るたび、気になりますよね。
こんにちは。兵庫県明石市で、夫婦で棒付きマカロン専門店を営んでいるいろはです。
うちは妻がお菓子を作り、私が「売る側」をやっています。
うちは2023年、わくわく広場の新店に出品しました。
先に結果を言うと、オープン月に売れたのは40本。
手元に残ったのは約1万2千円です。
そして5か月後
——売り場ごと閉店しました(!?)
検索して出てくるのは、会社側やテレビの情報ばかり。
実際に出品した人の記録が、どこにもありません。
この記事は、勧誘の電話が鳴った日から、売り場の閉店までの全記録です。
日付も、売れた本数も、値引きされた本数も、ぜんぶ出します。
読み終わる頃には、自分の店の商品を出すべきかどうか、自分で判断できるようになっているはずです。
わくわく広場さん、過去にうちも出してみたけど、今回は振り返りだね。
そうですね!
今日はその話を、最後まで正直に書きますね。
- 実際に売れた本数と手取りがわかるから、出す前に期待値を決められる
- 出品までの流れが日付つきでわかるから、準備で迷わなくてすむ
- かかる費用がぜんぶわかるから、手取りを自分で計算できる
- 値引きの仕組みがわかるから、「売れない」の正体が見える
- 閉店まで見届けた実例だから、一番悪いケースまで想像できる
▼結論|「売れない」は半分ホント。でも、損はしにくい仕組み
いきなりですが、結論となる一覧です。
| よくある疑問 | うちの実測 |
|---|---|
| 売れるの? | オープン月に40本売れた。ただし23本は値引きされてから |
| 儲かるの? | 売上 税込約1万9千円→手元 約1万2千円。時間を入れると利益とは呼べない |
| 損はするの? | 買い取りではないので、在庫を抱えるリスクはない。損の底は浅い |
| 続けられるの? | うちは自分の店の繁忙期と両立できず、続かなかった |
| ずっと売れるの? | 売り場そのものが5か月で閉店した |
売り場ごと閉店したんだよね
はい。そこまで含めて、全部書きますね。
▼始まりは、わくわく広場からの1本の電話
2023年10月17日。わくわく広場の本部から、突然お店に電話がかかってきました。
「イズミヤ神戸玉津店に新しくオープンする売り場に、マカロンを出品しませんか」
自分から応募したのではありません。
わくわく広場は、新しい店をオープンするとき、地域の生産者へ声をかけて回っているのです。(公式サイトに生産者募集のページがあるので、自分から応募することもできます)
その日のうちに届いた案内メールに、条件が書かれていました。
たしか日持ちするクッキーがダメだよね?
そこが意外でした。
新鮮なものを常に入れ替えていきたい売り場なので、日持ちしない生菓子のほうが歓迎されるんです。
▼出品までにやったこと全部|電話から3週間で売り場に並んだ
うちの実際の流れです。メールが全部残っていたので、日付は正確です。
| 日付 | やったこと |
|---|---|
| 10月17日 | 勧誘の電話と案内メール。検討をはじめる |
| 10月下旬 | 別店舗まで実物を見に行き、値札シールを仮貼りした写真で確認をもらった |
| 10月24日 | 出品を決めて返信。その日の夕方に電話で打ち合わせ |
| 10月26日 | 同意書に署名(規約・個人情報保護方針・遵守事項への同意) |
| 11月2日 | 書類を提出。表示シールの審査を経て生産者登録が完了 |
| 11月7日 | イズミヤ神戸玉津店オープン。売り場に並ぶ |

①提出した書類は4点だけ
- 直筆の同意書(白紙のA4に内容を書いたものでも可)
- 売上を振り込む口座の情報
- 営業許可証(うちは菓子製造業許可)
- PL保険の証書(食中毒や異物混入に備える保険)
菓子製造業許可をこれから取る人向けに、うちが実際に払った金額をこちらの記事にまとめています。
②表示シールで、一度「待った」がかかった話
出品の前に、商品に貼る食品表示のサンプルを提出します。
うちのサンプルには、商品部から5つの指摘が返ってきました。
| 指摘された点 | うちの対応 |
|---|---|
| 期限が5日以内なら「賞味期限」ではなく「消費期限」にする | 直した |
| 製造者の住所は都道府県から書く | 直した |
| 「紅麹」は「着色料(紅麹)」のように書く | 直した |
| アレルゲンを末尾に「(一部に○○・△△を含む)」とまとめる | 相談した |
| 一括表記をお勧めします | 相談した |
前半の3つは、こちらの書き方が足りていませんでした。すぐに直しています。
とくに期限の種類は、うっかりやりがちなところです。
うちのラベルは「賞味期限」と書いていました。
製造者の住所も「明石市……」から始めていて、都道府県が抜けていました。
そもそも、わくわく広場の募集自体が「消費期限6日以内の商品」という条件で、最初から消費期限をつける前提の売り場でした。
- 消費期限=いたみやすい食品につける。おおむね5日以内。「この日までに食べきってください」
- 賞味期限=日持ちする食品につける。「この日までならおいしく食べられます」
残りの2つは、そのまま直さずに相談しました。
指摘には「アレルゲンとして卵しか記載されていないが、乳成分・アーモンド・大豆も表示が必要」と書かれていました。
ただ、うちのラベルにはこう書いてありました。
砂糖(国内製造)、サツマイモ、アーモンド、卵白(卵を含む)、ヨーグルトチョコ、白餡、生クリーム、バター、野菜パウダー(明日葉、南瓜)、クリームチーズ、ほうじ茶パウダー、カロテン、乳化剤(大豆由来)、香料
これは個別表記という書き方です。末尾にまとめず、原材料の一つひとつでアレルゲンを示します。
卵は「卵白(卵を含む)」、乳は「バター」、アーモンドと大豆は名前そのまま。
「バター」は乳の言いかえとして認められた書き方(代替表記)で、同じアレルゲンが何度も出てくるときは、どれか1つ書いてあれば残りは省略できます。
つまり4つとも、すでに表示されていたのです。
末尾に「(一部に卵・乳成分・アーモンド・大豆を含む)」とまとめる一括表記に見慣れた目だと、その一行がないので「卵だけ」に見えてしまう。
おそらく、そういうことだったのだと思います。
そこで「スペースの都合で個別表記にしている。代替表記を使っており、消費者庁の食品表示基準は満たしている」と、根拠の資料を添えて返信しました。
結果、そのままの書き方で通りました。
言われるままに作り直さなくてよかったね。
ルールを知っていたから、根拠を出せました。
決まりの中で話せば、ちゃんと聞いてもらえます。
食品表示の書き方そのものは、お菓子の食品表示とアレルギー表示のまとめで解説しています。
▼手数料と費用はいくらか|始めるお金はほぼゼロ
わくわく広場は委託販売(売れた分だけ売上になる)です。
商品を買い取ってもらうのではなく、売り場を借りて、売れた分だけお金が入ります。
| 項目 | うちの場合 |
|---|---|
| 入会金・年会費・登録料 | 0円 |
| 販売手数料 | 報道では25%+その消費税 |
| バーコードシール | 1点あたり数円(店舗の機械で印刷できる) |
| 納品用の専用帽子 | 初回のみ数百円。納品で売り場に入るときの着用が決まり |
| 売上管理システムの利用料 | 売上があった月だけ数百円 |
| 振込手数料 | 月に数百円(月末締め翌15日払い) |
| 表示シールの作成代行 | 頼む場合は1枚あたり数円。うちは自分で印刷したので0円 |
手数料の25%は、テレ東プラスの記事(2026年1月22日)で紹介されている数字です。品目や配送方法、店舗や時期で変わるので、最新は公式サイトでご確認ください。
販売価格は、生産者が自分で決めます。
つまり、始めるのにまとまったお金は要りません。売れなければ、払うものもほとんどない。
この身軽さが、出店料が先に出ていくマルシェと比べたときの、いちばんの違いです。
▼で、売れたのか|1か月ぶんの実売データを全部見せます

うちが出したのは棒付きマカロン(1本・税込600円)だけでした。
オープンした2023年11月、売上管理システムに残っていた記録がこれです。
| 売れ方 | 本数 | 売上(税抜) |
|---|---|---|
| 定価で売れた | 17本 | 9,452円 |
| 2割引で売れた | 9本 | 4,005円 |
| 半額で売れた | 14本 | 3,892円 |
| 合計 | 40本 | 17,349円 |

40本、売れました。
オープン月の勢いもあったと思います。
ただ、この表には正直な現実が写っています。
40本のうち23本は、値引きシールが貼られてから売れたのです。
なかには割引待ちのお客様もいました。
わくわく広場では、消費期限当日の夕方になると2割引、そのあと半額になります。
値引きのタイミングは店舗にお任せする決まりで、生産者は口を出せません。それでも売れ残れば処分され、処分された分は1円にもなりません。
納品した総数の記録は残っていないので、処分された分は、この40本の外側にあります。

この17,349円が、まるごと入るわけではありません。
うちが受け取った出品条件通知書には、「生菓子は税抜販売価格の75%」と書かれていました。
つまり手数料は25%。テレビで紹介されている数字と同じでした。
ここからさらに、バーコードシール代・振込手数料・専用帽子代・売上管理ツールの利用料が引かれます。
手元に残ったのは、およそ1万2千円でした。
ここから材料費は引いていません。
納品には「保冷バッグを使い、90分以内に届ける」というルールもあります。40本を作る材料費と時間、納品の往復まで入れると——時給に直すと、あまり見たくない数字になります。
半額のシールが貼られてるの、ちょっと切ないね…。
売り場を見に行くたびに、ちょっと胃が痛かったです。
でも、これが委託販売のリアルでした。
そして12月、うちは続けられなくなった
12月は、お菓子屋にとって1年でいちばん忙しい月です。
クリスマスとオーダーで自分の店が回らなくなり、わくわく広場への納品はどんどん後回しになりました。
納品できなければ、当然売上はゼロ。
実際、売上が立ったのは11月だけで、12月以降はゼロでした。
「売れない」のではなく、「売り続ける体制を作れなかった」。
これが、うちの正直な敗因です。
▼「売れない」と言われる理由を、出品者の側から見ると
出品してわかった、この仕組みの特徴です。
前半の3つは規約や案内で決まっていること、後半の2つはやってみて感じたことです。
つまり「わくわく広場は売れない」という噂の正体は、こういうことだと思います。
置くだけでは絶対売れない。
通って、補充して、商品そのもので目を引ける生産者だけが売れ続ける。
それができる人には、初期費用ゼロのいい売り場です。
うちは自分の店で手一杯で、続きませんでした。
▼そして、売り場ごと閉店した
2024年に入り、うちが納品に行けないまま日が過ぎて
——3月、わくわく広場イズミヤ神戸玉津店は閉店しました(2024年3月31日/明石じゃーなるの記事より)。
正直に書くと、うちは閉店を後から知りました。
年末年始からずっと、自分の店のことで頭がいっぱいだったのです。
ただ、これは誰かが悪いという話でもないようです。
わくわく広場の運営会社は、採算が見込めない店舗は早く閉めて、別の場所へ出店するという考え方を出店戦略の柱にしている、とダイヤモンド・チェーンストアオンラインの記事(2026年1月27日)で紹介されています。
売り場の入れ替わりが早いのは、この会社の戦略そのものなのです。
生産者の側の教訓は、ひとつだけです。
出品先のお店の寿命は、自分では選べない。
だからこそ、初期費用がかからず、在庫を抱え込まずに済む「委託」という形は、理にかなっているとも言えます。
撤退のダメージが、ほぼゼロで済むのだから。
オープンから5か月で閉店って、早かったね…。
でも、40本ぶんのデータとこの記事が残りました。
授業料ゼロの社会科見学だったと思っています。
▼よくある質問(FAQ)
Q1. 個人でも出品できますか?
できます。うちも夫婦2人の小さな店です。必要なのは営業許可(お菓子なら菓子製造業許可)とPL保険で、法人である必要はありません。入会金や年会費もかかりませんでした。
Q2. 手数料はいくらですか?
売れた金額から手数料と、手数料にかかる消費税が引かれます。うちが受け取った出品条件通知書には「生菓子は税抜販売価格の75%」とあり、手数料は25%でした(品目や配送方法で異なります)。ほかに振込手数料などの実費が月に数百円かかりました。
Q3. 何でも出品できますか?
店舗と時期によります。うちが受けた案内は「消費期限6日以内の商品」で、クッキーやラスクは受け付けていませんでした。新鮮なものを常に入れ替えたいという売り場なので、日持ちしない生菓子のほうが歓迎されることもあります。
Q4. 売れ残ったらどうなりますか?
消費期限当日の夕方に2割引、そのあと半額になり、それでも残れば店舗で処分されます。値引きのタイミングは店舗にお任せする決まりで、生産者は関与できません。売れた分だけが入金されます。
Q5. どうやって始めればいいですか?
公式サイトの生産者募集ページから問い合わせるか、うちのように新店オープン時の勧誘を受けるかです。うちが提出したのは、直筆の同意書・振込口座の情報・営業許可証・PL保険証書の4点でした。
Q6. 出品先の店舗が閉店したらどうなりますか?
うちが経験しました。売り場の商品は撤去され、在庫は生産者に返還される決まりです。買い取りではなく委託なので、金銭的な損害はありませんでした。
Q7. マルシェ出店とどちらがいいですか?
性格が違います。マルシェは出店料が先に出ていく代わりにお客さまと直接話せます。わくわく広場は初期費用がほぼゼロの代わりに、売り場での見せ方を自分で決められません。うちはどちらも経験しましたが、在庫リスクの浅さではわくわく広場のほうが上です。
Q8. お客さまからのクレームや食品事故は、誰が対応するのですか?
商品が原因のクレームや事故は、生産者が責任を負う決まりです。規約には、内容によって商品の撤去や自主回収を行う場合があることも定められています。登録の条件にPL保険が入っているのは、このためです。
▼まとめ|「試す場所」としては良い。「柱」にはならない

- オープン月に40本売れた。需要はゼロではない
- ただし23本は値引きされてから。手元に残ったのは約1万2千円
- 初期費用ほぼゼロ・買い取りなし。損の底は浅い
- 勝負を分けるのは納品を続けられる体制。うちは自分の店の繁忙期で続かなかった
- 売り場の寿命は選べない。うちの出品先は5か月で閉店した
わくわく広場は、怪しい仕組みでも、夢の販路でもありませんでした。
「自分の商品が、知らない売り場でいくらで売れるのか」を、ほぼタダで試せる場所。
40本と閉店を経験したうちの結論は、これです。
出すかどうか迷っているなら、判断の材料はこの記事の数字で足りるはずです。
この40本の記録が、あなたのお店の役に立ちますように。
もう一回やるとしたら、出す?
今のところは、なしですね。
次は「通える体制」を先に作ってからとします。
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