「ふるさと納税、やってますか?」
と聞かれることはあっても、「ふるさと納税に”出す”側、やってますか?」と聞かれることは、まずないですよね。

兵庫県明石市で、棒付きマカロンの専門店を夫婦でこぢんまり営んで4年になります。実はうちのマカロン、明石市のふるさと納税の返礼品として出しています。
「寄附する側」の記事は検索すれば山ほど出てきますが、「小さなお店が、自分の商品を返礼品として”出す側”になる」話は、ほとんど見かけません。

でもこれ、地元で何かを作っている小さなお店にとっては、低リスクで販路を1つ増やせる、けっこう現実的な選択肢なんです。
この記事では、応募のきっかけからお金の仕組み、正直、ほぼノーリスクだと思う理由、そして「年々ちょっと厳しくなってるな…」という本音まで、”出す側”から全部お話しします。

📋この記事からわかること
  • 小さなお店でも、ふるさと納税に「出す側」で参加できるとわかる
  • どこに・どうやって応募すればいいかがわかる
  • お金がいつ・誰から入るのかがわかり、資金繰りの見通しが立つ
  • 在庫・送料・貸し倒れのリスクが小さい理由がわかる
  • 年々厳しくなっている現実も正直にわかる

✅この記事が向いている人

  • 地元の素材で何かを作っている個人事業主・小さな食品店
  • 低リスクで新しい販路を1つ増やしたい人
  • 自分の街(自治体)を応援したい人

あまり向いていない人

  • 地場産品の要件に当てはまらない商品を扱っている人
  • すぐにまとまった売上がほしい人(波があり、入金も遅め)

先にうちの返礼品を見たい方はこちら
明石市のふるさと納税に、棒付きマカロン(〜紫〜/〜贈〜)を出しています。このあと出す側のリアルを正直にお話しします!

▶ 楽天ふるさと納税で「いろはのおと」を見る | ▶ ふるなびで探す

▼そもそも「出す側」になれるの?

結論、なれます。
うちみたいな夫婦2人の小さな店でも出せています。
ただし、いくつか条件があります。

  • 返礼品の調達に要する費用が寄附額の3割以下であること(返礼割合のルール)
  • 地場産品であること(その地域で作られている/主要な製造工程がその地域にある)
  • 原則、その自治体内に事業所がある事業者であること

💡「3割以下」「地場産品」って?
ふるさと納税は“地域を応援する”制度です。
だから、寄附額に対して豪華すぎる返礼品(3割超え)はNG。
また、よその地域から仕入れて右から左に流すだけの品もNGで、「その土地ならではの品(地場産品)」であることが求められます。
うちの棒付きマカロンは明石市内の工房で手作りしているので、地場産品としてクリアできました。
※2026年10月からは、加工品は「地元で価値の過半が生じたこと」の証明が必要になります(くわしくは後述)。

「うちの商品、地場産品になるのかな?」って迷う人も多そうだね。

私も最初そうでした!でも判断は自治体がしてくれます。
「地元で作ってる」「地元の素材を使ってる」なら、まず自分の市町村の募集ページを見て、ダメ元で聞いてみるのが早いです。
考えているより、対象になる品は多いですよ。

条件と聞くと身構えますが、地元でちゃんとモノを作っている小さなお店なら、当てはまることが多いはずです。
くわしくは→菓子製造業許可の取り方完全マニュアルお菓子のネット販売 全体マップ

▼「寄附する側」と「出す側」、何がちがう?

本題の前に、ここを整理しておくと一気に分かりやすくなります。
同じ”ふるさと納税”でも、立場でまるで別物です。

寄附する側(一般の人)出す側(返礼品事業者)
やること寄附して返礼品を受け取る商品を作って寄附者に届ける
お金の流れ自分がお金を払う代金を受け取る
確定申告寄附金控除の手続きが必要寄附金控除は不要(受け取った代金は売上として申告)
立場消費者事業者(お店)

ネットにある記事のほとんどは左側(寄附する側)の話。
この記事は、まるごと右側(出す側)の話です。

▼どうやってなったか=市役所に応募しただけ

どうやって返礼品になったの?
特別なコネ(?)とか要るの?

それが、意外と普通で。先輩の事業者さんが「ふるさと納税、出してみたら?」と教えてくれて、明石市の募集に応募しただけなんです。
コネも、仲介業者さんへの営業も、特に要りませんでした。

💡応募する前は「もっと厳しい」と思っていました
正直に言うと、応募する前は「条件が結構きびしくて、大きなお店じゃないと無理なのかな」と思っていました。でも実際は、市役所の募集に応募するだけ。意外と普通でした。
ただ、商品の魅力が伝わる説明文づくりだけは、AIとも相談してしっかり作り込みました(くわしくは→商品説明文をAIでここまで作った話)。ここは手を抜かなくてよかったところです。

流れをざっくり書くとこうです(自治体によって細かい手続きは違います)。

  1. 「(自分の自治体名)+ふるさと納税+返礼品+事業者募集」で検索
  2. 出てきた募集要項を読む
  3. 必要書類を用意して応募
  4. 自治体・事務局の審査
  5. 通れば、返礼品として出品

応募のときに要ったもの(うちの例)
・商品の写真
・原材料・食品表示・アレルギー表示の情報
・商品の説明文・寄附額の設定 など

食品を出す場合は、この「表示まわり」がけっこう肝心です。
ここが整っていないと審査で止まります。

応募したら、みんな通るの?
落ちることもあったりする?

審査はちゃんとありますよ。
地場産品の基準や表示のルールを満たしていないと通りません。
逆に言えば、そこさえ整えれば、小さなお店でも通りますね。
うちも特別なことはしていません。

審査には、1〜2ヶ月ほどかかりました。
ただ、こちらは書類を出したら基本”待つだけ”なので、あまり気にならなかったというのが正直なところです。焦らず、通知を待てば大丈夫です。
くわしくは→お菓子の食品表示・アレルギー表示の書き方

💡応募から入金までの流れ(うちの場合)
応募 → 審査(1〜2ヶ月)→ 掲載 → 注文(発注が届く)→ 発送(寄附者へ直送)→ 入金(約2ヶ月後)
という順番です。全体的に「思ったより時間がかかる」ので、最初の入金までは気長に構えておくと安心です。

▼お金の仕組み:誰から、いつ入るのか

ふるさと納税の返礼品事業者のお金と商品の流れ図。寄附者・自治体・中間事業者・お店の関係と、代金が約2ヶ月後に入る流れ。

ここが「寄附する側」と一番ちがうところです。

お金って、寄附した人から直接もらうの?

いいえ。流れはこんな感じです。

  1. 寄附者がサイトで寄附する
  2. 自治体と契約している中間事業者から、お店に「これ作って送ってね」と発注が来る
  3. お店は、寄附者へ商品を直接発送する
  4. 後日、中間事業者からお店に代金が振り込まれる

💡中間事業者って?
自治体の代わりに、サイトの運営・お店への発注・支払いなどを回してくれる会社のことです。お店から見ると「お金は寄附者ではなく、この中間事業者から受け取る」形になります。だから、寄附金控除みたいな”寄附する人の手続き”は、出す側にはまったく関係ありません。売上としては、普通の卸売と同じ感覚です。

お金まわりで押さえておきたいのは2つ。

  • 送料は、うちの場合は中間事業者側の負担(お店の持ち出しが少ない。※自治体によって扱いは違います)
  • 入金は遅め。「出荷した月の月末で締めて、そこから約2ヶ月後」が目安です。
    年末にたくさん出ても、手元に入るのは年明け。ここは正直、遅いので、資金繰りだけは頭に入れておくと安心です。

💡いくら受け取れるの?
返礼品の「調達に要する費用」は寄附額の3割以下と決まっているので、事業者に入る単価も寄附額の3割くらいが上限の目安です(例:1万円の寄附なら3,000円前後)。感覚としては「ほぼ通常の卸値で出す」イメージ。送料などの費用は、自治体が制度上の費用枠の中で負担してくれています。

2ヶ月後かぁ。忘れた頃だね。

そうなの(笑)。でも「必ず入る」のは分かっているので、そこは安心。売掛の管理だけ、会計ソフトでちゃんとやっておけば大丈夫です。

くわしくは→マネーフォワード クラウドを4年使った正直レビュー副業の確定申告 初めての3ステップ

▼正直、事業者にはほぼノーリスクです

ふるさと納税の返礼品事業者のリスクが小さい3つの理由の図解。在庫(受注生産)・送料(うちの場合は先方負担)・代金(契約どおりなら回収できる)。

ここがこの記事で一番お伝えしたいことです。

  • 在庫リスクなし
    =受注生産(発注が来てから作る)。売れ残りが出ません。
  • 送料の負担が小さい
    =うちの場合は先方持ち(自治体による)。
  • 代金の取りっぱぐれが少ない
    =自治体・中間事業者との契約なので、契約どおり処理されれば、まず回収できます。

うちの場合も、やることは「発注が来たら、その分だけ作って、箱に詰めて、寄附者さんへ直送する」だけ。
始めるのに大きな初期投資も要りません(商品と、表示まわりの準備さえあればOK)。

ほんとにリスクないの?って身構えちゃうけど。

作る手間はもちろんかかります。
でも「作ったのに売れ残った」「送料で赤字」「代金が回収できない」みたいな、事業でいちばん怖いところが無いですね。
だから私は小さなお店こそ一度やってみる価値があると思っています。

ただし「まったくの無リスク」ではありません
正直に言うと、次のような”制約”はあります。

  • 単価は寄附額の3割が上限(売価を自由に決められない)
  • 年末に寄附が集中するので、繁忙期に製造が立て込む
  • 入金は約2ヶ月後=その間は運転資金が寝る
  • 2026年10月から地場産品の基準が厳格化し、書類対応が必要になる(後述)

それでも、事業でいちばん怖い「在庫・送料・貸し倒れ」が無いのは、小さな店には大きい。だから「ほぼノーリスク」と言っています。

▼でも、良いことばかりじゃない

いいことばかり書くと嘘っぽいので、ここも隠さず。

✅️正直な話
  • 2025年10月から、寄附サイトのポイント付与が全面禁止になりました(総務省の方針。クレジットカード会社の通常ポイントは対象外です)。寄附する人にとっての”おまけ”が減った分、全体の勢いは少し落ち着いた印象です。
  • 商品を気軽に入れ替えられない
    新しい返礼品を出すにも、書類の整備と審査があるので、「新商品できたからすぐ返礼品に!」とはいきません(食品表示やアレルギー表示のチェックも毎回あります)。
  • 入金が約2ヶ月後(前章のとおり)。
  • 2026年10月から、地場産品の基準がさらに厳しくなります
    (加工品は「地元で価値の過半が生じたこと」の証明が必要に。後述)。
  • そして正直に言うと、うちは注文がすごく多いわけではありません。「年末に一気に儲かる!」みたいな夢の話ではない、というのが4年やってみた実感です。

それでも続けてるのはなんでなの?

ほぼノーリスクだから、続けていて損がないんです。
あと、次で話すけど、お金だけじゃないメリットもあって。

💡2026年10月、地場産品の基準がさらに厳しくなります
総務省の見直しで、2026年10月からは加工品について「価値の過半が地元で生じたこと」を書類で証明し、自治体が一般販売価格とあわせて公表する仕組みになります。うちのように市内の工房で手作りしていれば、地元で生まれる付加価値は大きいはずです。ただ2026年10月からは、それを原価計算などの書類で「証明」する必要が出てきます(実際うちにも、中間事業者を通じて地場産品の申請様式を出す連絡が来ています)。「手作りだからすぐOK」ではなく、書類で示す一手間が増えるイメージですね。
さらにこの改正では、自治体が使える募集費用の上限(今は寄附額の5割)も、2029年にかけて段階的に4割へ引き下げられます。事業者に入る単価(寄附額の3割)を圧迫する方向の変化で、「年々ちょっと厳しくなってるな」の正体は、実はこれです。原料や工程を他地域に頼っている事業者は特に、早めに自治体へ確認を。最新は総務省・自治体の事務局でご確認ください。うちも申請様式が届いているので、対応したらまた記事にしますね。

▼それでも「やったほうがいい」と思う理由

理由はシンプルです。

✅️やったほうがいい理由
  • 在庫・送料・貸し倒れのリスクが小さいから、続けていて損がない
  • 「明石市の返礼品」という肩書きが、小さな店の信頼になる
  • ふるさと納税で初めて知って、あとで直接リピートしてくれる人もいる(新規認知の入り口)。実際、うちも「ふるさと納税で食べて気に入ったから」とお店やオンラインで直接買ってくださった方がいます
  • 自分の街を応援する仕組みに、自分の商品で参加できるのが、単純に嬉しい

ちなみに、うちが出しているのはこんな返礼品です。

いろはのマカロン〜紫〜
明石ウイスキーやコーヒーなど、地元の素材を使った大人向けの詰め合わせ。

いろはのマカロン〜贈〜
ウイスキー・いちごなど8種類12本の、贈りものにも使える詰め合わせ。

ふるさと納税返礼品「いろはのマカロン〜贈〜」。8種類12本の棒付きマカロンの詰め合わせ。
ふるさと納税返礼品「いろはのマカロン〜紫〜」。明石ウイスキーやコーヒーを使った大人向けの棒付きマカロン。
楽天ふるさと納税の兵庫県明石市ページに掲載された、いろはのおとの返礼品(棒付きマカロン〜紫〜・〜贈〜)。

▲実際に楽天ふるさと納税の明石市のページに、こうして掲載されています。”出す側”になると、こういう掲載ページができます。

先輩が私に教えてくれたように、私も「小さいお店ほど、始めやすい販路だし、やってみたら?」と伝えたいです。
あわせて→TikTok Shopに個人で出店してみた話Shopifyを4年運営した本音

▼まとめ|”出す側”から見たふるさと納税

出す側から見たふるさと納税のまとめ。地場産品なら出せる・応募は市役所・入金約2ヶ月後・リスクは小さい・制度は要確認。
  • 小さなお店・個人事業主でも、地場産品ならふるさと納税に「出す側」で参加できる
  • 応募は「自治体名+ふるさと納税+事業者募集」で検索して市役所へ。コネ不要(ただし審査と表示まわりの準備は必要)
  • お金は中間事業者から、出荷の約2ヶ月後に入る(送料はうちの場合は先方負担)
  • 在庫・送料・貸し倒れのリスクが小さい(ただし単価は寄附額3割が上限・入金は約2ヶ月後)
  • 2026年10月から地場産品の基準が厳格化。制度は年々変わるので、最新は総務省・自治体で確認を

“出す側”になってみたい方へ
最初の一歩は、「(お住まいの自治体名)+ふるさと納税+事業者募集」で検索してみること。募集要項が見つかれば、そこがスタートです。

(参考)うちの返礼品はこちら
明石市のふるさと納税に、うちの棒付きマカロン(〜紫〜/〜贈〜)を出しています。気になった方はこちらからどうぞ。

▶ 楽天ふるさと納税で「いろはのおと」を見る | ▶ ふるなびで探す

▼よくある質問(FAQ)

Q. 個人事業主でも返礼品を出せる?

A. 出せます。多くの自治体は、市内の個人事業者でも応募できます。ポイントは「地場産品であること」。地元で作っている品なら、まずは自分の自治体の募集要項を確認してみてください。

Q. どこに・どうやって応募すればいい?

A. まずは自分の自治体の「ふるさと納税 返礼品 事業者募集」ページです。うちは明石市の市役所に応募しました。仲介業者への営業やコネは特に要りませんでした。

Q. 審査で落ちることはある?何が要る?

A. 審査はあります。地場産品の基準や、食品なら食品表示・アレルギー表示のルールを満たしていないと通りません。逆に、写真・原材料・表示情報を整えれば、小さな店でも通ります。

Q. お金はいつ入るの?送料や手数料は?

A. 中間事業者から、出荷の約2ヶ月後が目安です(月末締め→約2ヶ月後の入金)。送料はうちの場合は先方の負担(自治体による)。サイト運営などの費用も主に自治体・中間事業者側でまかなわれ、事業者は「決められた単価で作って送る」形が多いです(詳細は自治体・契約による)。

Q. 2025年のポイント禁止で、寄附は減った?

A. 寄附サイトのポイント付与は2025年10月から禁止されました。おまけ目当ての勢いは落ち着いた印象です。ただ、在庫・送料・貸し倒れのリスクが小さいまま続けられる点は変わりません。

Q. 2026年の制度改正で、出す側に影響はある?

A. あります。2026年10月から地場産品の基準が厳しくなり、加工品は「価値の過半が地元で生じたこと」を書類で証明する必要が出てきます。あわせて、自治体が使える募集費用の上限(今は寄附額の5割)も、2029年にかけて段階的に4割へ引き下げられます。制度は毎年のように変わるので、最新は総務省・自治体でご確認ください。

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ABOUT ME
いろはさん
兵庫県でマカロン専門店「いろはのおと」(https://iroha-no-oto.com/)を営む、個人事業主4年目の店主です。元メーカー勤務の非エンジニア。製造・販売からEC・SNS・会計・事務まで、ほとんどを自分でこなしながら、AI(Claude Code)・個人事業主のお金・店舗運営のリアルを“エアプなし”で正直に発信しています。(FP2級・簿記2級/中小企業診断士は勉強中) 📣 記事の更新はXでお知らせしています → @irohanote168 をフォロー