「お店を借りるお金はない。でも、自分のお菓子を売ってみたい」

「店舗を持たないお菓子屋なら、家のキッチンで始められるのでは?」

そんな疑問から、このページを開いた人も多いと思います。

わたしは兵庫県明石市で、妻と2人で棒付きマカロン専門店を営んでいます。

実はうちも、最初は売り場のない「店舗を持たないお菓子屋」として始めました。

借りたのは、7坪の「作る場所」だけです。

売り場は作っていませんが、家賃も工事代もかかっています(設備側で約351万円)。

結論から書くと、店舗を持たないお菓子屋は成り立ちます。

ただし、いらないのは「売り場」で、「作る場所」は要ります。

家の台所で作ったお菓子は、そのままでは売れないからです。

この記事では、2022年に作る場所だけを借りてネットで売り始めた実例で、始め方と向き不向きを、うちの実例で見せます。

ネットショップから始めるなら、STORESは月額0円のフリープランで開けます。
※料金・条件は変わることがあります。最新は公式サイトでご確認ください。

お金が足りなくて、店舗を持たないなら、家で作ればいいんじゃないの?

それが、家の台所では売れないんです。

🙆こんな人に向いています

  • 小さく始めて、お客さんの反応を確かめたい人
  • 開業にかかるお金の感覚を、先につかみたい人
  • 家やお店の場所に、お客さんが来にくい人

🙅こんな人には向いていません

  • 自分のお店を持つ実感がほしい人
  • 家の台所で作って、そのまま売りたい人(そのままでは許可が取れません)
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この記事を書いた人

いろは

明石市・棒付きマカロン専門店「いろはのおと」店主(2022年8月開業)

  • ✓ 2022年、7坪の「作る場所」だけを借りて、ネットで売り始めた(菓子製造業の許可は2022年7月28日)
  • ✓ 開業の設備側は約351万円(運転資金は別)・借入なし。内装は3社、厨房機器は2社の見積もりを比べて決めた
  • ✓ ネットショップを4年運営。今も売り場は作らず、製造所の入口で手渡ししている
  • ✓ 関西テレビ「ドっとコネクト」・テレビ山口「mixデリバリー」(2025年)・BAN-BANテレビ「ひがタン!」・明石ケーブルテレビ「まるっとあかし」で紹介。山陽電車の情報誌「ESCORT」、明石市の広報誌「広報あかし」(2026年9月号)にも掲載

🏠お店のサイト(いろはのおと) 🧵Threads 𝕏更新のお知らせ

▼結論|売り場はなくていい。作る場所は要る

先に、うちの「成り立つ」の意味を書いておきます。

借入なしで始めて、4年続いていることです。

儲かっているという意味ではありません。

今は入口での手渡し・マルシェ・卸も足していて、通販だけで続いているわけでもありません。

そのうえで、この記事の答えを表にまとめます。

必要なものいる?うちの場合
常設の売り場不要今も入口で手渡し
作る場所(許可のある厨房)要る7坪の製造所
菓子製造業の許可要る2022年7月28日
食品衛生責任者要る講習で取得
売る場所要るネット→手渡し・マルシェ・卸

食品衛生責任者は、作る場所ごとに1人置く決まりの役目で、講習を受ければなれます。

マルシェで手元に残るお金は、「マルシェは儲かる?」に載せているので、ぜひ見てみてください。

そして「店舗を持たない(無店舗)」は、「作る場所も持たない」という意味ではありません。

売り場を持たなくても、お菓子を作る場所には、保健所の許可が必要です。

その作る場所をどう用意するかで、始め方は3つに分かれます。

▼「店舗を持たない」お菓子屋の3つの形

作る場所の用意のしかたは、大きく3つあります。

「店舗を持たない」お菓子屋の3つの形の図解。自宅の一部を改装する(区切れる部屋が要る)、シェア・レンタルキッチン(予約した時間だけ)、小さな製造所を借りる(いつでも作れる)。売り場はなくていい。作る場所は要る。
形かかるお金自由さ
自宅の一部を改装する改装の工事代
(大きい)
△ 部屋を区切る
シェア・レンタルキッチン使うたびの利用料
(始めは小さい)
△ 予約の時間だけ
小さな製造所を借りる工事代と家賃
(大きい)
◎ いつでも

シェアキッチンの利用料は、場所と使う時間で大きく変わります。

うちも調べましたが、通う回数や時間単価を考えると、思っていたより高いと感じました。

うちが選んだのは、3つ目の「小さな製造所を借りる」です。

シェアキッチンと自宅の改装を選ばなかった理由は、このあと書きます。

3つ目が、一番お金がかかりそう…

かかりました。でも、自分の都合や予定に合わせて作れます。

うちの製造所は、設備側(内装・厨房機器・物件など)だけで約351万円かかりました。

材料などの運転資金は、これとは別です。

内訳は、「お菓子屋の開業、実際いくらかかった?」に全部出しています。

▼うちは「作る場所だけ」借りて始めた|2022年の順番

実際にどんな順番で始めたかを、日付つきで書きます。

搬入直後の7坪の厨房。左に2槽シンク、奥に縦型の冷凍冷蔵庫、手前に台下冷蔵庫が並ぶ。
2022年7月25日、機械を運び込んだ直後の7坪の厨房
時期やったこと
2022年3〜5月内装と厨房機器の見積もりを取る(内装3社・厨房2社)
2022年6月14日ネットショップの開店を告知
2022年6月の終わり予約の受付を始める(プレ販売)
2022年7月28日菓子製造業の許可が下りる
許可のあと予約の分を作って、発送する
2022年8月15日近所の声で、入口での手渡しも始める

最初は、お客さんが入る売り場を作るつもりはありませんでした。

7坪の製造所は、お菓子を作るためだけに借りています。

6月の予約は、保健所に相談を進めていた段階での「受付」だけです。

作るのと送るのは、許可が下りてからにしました。

開店直後、注文品を箱に詰めている作業台。
2022年8月10日、予約の注文品を箱に詰めているところ

最初に買ってくれたのは、知り合いや、開店前からXで発信していたつながりの人が多かったです。

店頭での販売が始まったのは、近所の人に「ここで買えないの?」と聞かれたのがきっかけです。

売り場を作り足したのではなく、今も製造所の入口で手渡ししています。

明石のマカロン店「いろはのおと」の入口。のぼりと看板が出ている。
今のお店の入口。看板は出していますが、中に入って選ぶ売り場はありません

今はお店の入口でお客さんが選んで、渡してるんだよね!

そうなんです。お客さんとは、入口で話しています。

許可を取るまでの手順は「菓子製造業許可の取り方」、許可にかかったお金は「菓子製造業許可の費用はいくら?」に書いています。

▼シェアキッチンを選ばなかった理由

作る場所を持たずに始めるなら、シェアキッチンやレンタルキッチンが一番手軽です。

理由は、許可のある厨房を時間単位で借りられるからです。

それでも、うちは選びませんでした。

  • 借りられる場所が、家から遠かった
  • 行き来の手間と、使うたびのお金がかなりかかる
  • 子どもがいて、決まった時間に通い続けるのが大変だった
  • 作るのは妻で、わたしには代われないので、そこまでの負担はかけられなかった

近くにレンタルキッチンがあったら、通ってもよかったのかな?

距離だけじゃなく、通い続ける大変さも考慮しないといけませんね。

家の近くに施設があって、作る量が少ないうちは、シェアキッチンのほうが向いている人もいます。

借りる前に、通える距離と、1回あたりの利用料を必ず確かめてください。

▼自宅のキッチンで作れなかった理由

一番安く済むのは、自宅の一部を改装して許可を取る方法です。

ただ、兵庫県内で公開されている施設の基準では、作業場は住まいと区切った専用の場所にする必要があります。

出典:「営業施設の施設基準(菓子製造業)兵庫県食品衛生法基準条例 別表(第3条関係)より抜粋」(尼崎市の公開資料)※基準は自治体ごとに違うので、改装の前に地域の保健所へ相談してください。

うちの家では、次の4つがそろいませんでした。

  • 区切って専用にできる部屋がない
  • 水回りが足りない
  • 電気の容量が足りない
  • 家庭用のオーブンや冷蔵庫では、事業として量を作るのが厳しい

どれか1つでも欠けると、改装の工事が大きくなります。

自宅で許可が取れるかどうかは、「手作りクッキー販売に許可は必要?」に詳しく書きました。

▼店舗を持たないお菓子屋の、いいところと大変なところ

4年やってきて分かった、いいところと大変なところです。

いいところ

  • 売り場の工事と家賃を、作る場所の分だけに抑えられる
  • 営業時間に縛られず、作る時間を決めやすい
  • ネットなら、明石まで来られない人にも届く
  • 注文の反応を見ながら、商品と値段を決められる

大変なところ

  • 知ってもらう場所が、ネットとSNSしかない
  • 送料がかかるので、1回の注文が高く見える
  • 通販のお客さんは、1回きりになりやすい(リピーターを作るのが難しい)

うちの通販を数え直すと、全期間では注文の約3分の1(35.5%)が2回目以降の注文でした。

ところが2025年1月から2026年8月に絞ると、約1割(11.5%)まで下がっています。

数え方:注文のうち、そのお客さんにとって2回目以降だった注文の割合です。

期間で区切った数字は、その前に買った人の再購入も1回目として数えるので、低めに出ます。

売り場がないと、お客さんと顔を合わせる場がないので、もう一度買ってもらう工夫が要ります。

顔を合わせないと、覚えてもらいにくいよね

そこは、今もうちの課題です。

数え方と、ネット販売で手元に残るお金の計算は、「お菓子のネット販売は儲かる?」にまとめています。

▼それでも「店舗を持たない」を勧める理由と、向いている人

わたしは、これから始める人に「店舗を持たない」形を勧めます。

お店を構える前に、商売の手ごたえを小さく確かめられるからです。

向いている人

  • 小さく始めたい人
  • お客さんの反応を、先に確かめたい人
  • 商売にかかるお金の感覚を、先につかみたい人
  • 家やお店の場所に、お客さんが来にくい人

向いていない人

  • 自分のお店を持つ実感がほしい人
  • ネットやSNSで、お店を知ってもらう発信を続けるのが苦手な人

看板を出してお客さんを迎えたい気持ちが強いなら、最初から売り場のあるお店のほうが満足できると思います。

小さく試せるのは、安心だね

うちも、入口での手渡しは後から始めました。

▼始める順番と、ネットショップの選び方

これから始める人に勧める順番です。

  • ①作る場所を決める(自宅の改装・シェアキッチン・製造所)
  • ②改装や契約の前に、保健所に相談する
  • ③食品衛生責任者の講習を受ける
  • ④許可を申請して、検査を受ける
  • ⑤ネットショップを開いて、販売の準備をする
  • ⑥作って送る(送り方と表示を先に決めておく)

うちの実際の順番は、上の2022年の表のとおりです。

うちは許可が下りる前にネットショップを開いて予約を受けましたが、作るのと送るのは許可のあとにしました。

ネットショップは、最初は月額0円で始められるサービスが向いています。

売れるか分からないうちに、毎月の固定費を払わずに済むからです。

うちは開業のときから、月額のかかるShopifyを使っています。

BASE・STORESと迷ったうえで、お店の見た目を自由に作りたかったからです。

選んだ理由は、「マカロン専門店がShopifyを4年運営してわかった本音」に書いています。

ただ、売れるかどうか分からない最初の数か月を試すだけなら、月額0円のサービスのほうが身軽です。

ネットショップから始めるなら、STORESは月額0円のフリープランで開けます。
※料金・条件は変わることがあります。最新は公式サイトでご確認ください。

月額0円で始められる代表はSTORESとBASEで、違いは「BASEとSTORESの比較|お菓子・食品を売るならどっちが安い?」で比べています。

冷凍で送るときの梱包は「お菓子を冷凍で送る方法」、表示のシールは「お菓子の食品表示・アレルギー表示の書き方」にまとめています。

賞味期限を何日にするかは、「お菓子の賞味期限はどうやって決める?」に、検査の実例で書いています。

始めるまでの流れの全体は、「お菓子屋を開くまでの流れ」に、やった順番で並べています。

製造所で手渡しするときも、会計のしかた(現金・カード・QR)を決めておくと安心です。うちが4年でどう選んだかは、お菓子屋を開いたら、カード決済とレジはどうする?4年の実例にまとめています。

▼よくある質問(FAQ)

Q1. 店舗を持たないお菓子屋でも、許可はいりますか?

A. いります。

売り場がなくても、お菓子を作る場所に菓子製造業の許可が必要です。

うちも、7坪の製造所で許可を取ってから販売を始めました。

Q2. 家のキッチンで作ったお菓子を、ネットで売れますか?

A. 住まいと区切った専用の作業場を用意できないと、売ることはできません。

基準は自治体ごとに違うので、改装の前に、地域の保健所へ相談してください。

Q3. シェアキッチンで作れば、自分の許可はいりませんか?

A. 許可の扱いは、地域と施設によって違います。

借りる前に、施設と保健所の両方に確かめてください。

うちが許可を取った流れは、「菓子製造業許可の取り方」に書いています。

Q4. 許可が下りる前に、予約を受けてもいいですか?

A. 予約の受け方の扱いは、地域や売り方で変わります。

始める前に、保健所に確かめてください。

うちは保健所に相談しながら予約の受付だけを始めて、許可が下りてから作って発送しました。

Q5. 店舗を持たなくても、お客さんは来ますか?

A. うちの最初のお客さんは、知り合いや、開店前からXで発信していたつながりの人が多かったです。

売り場がない分、始める前から知ってもらう場所を作っておくことが大事です。

▼まとめ|売り場は後からでいい。作る場所から始める

最後に、この記事の要点をまとめます。

売り場は後からでいい。作る場所から始める、のまとめ図解。いらないのは売り場で、作る場所は要る/自宅の改装・シェアキッチン・小さな製造所の3つ/小さく始めたい人には勧める/自分の店を持つ実感がほしい人には向かない。
📌この記事のまとめ
  • 店舗を持たないお菓子屋は成り立つ。いらないのは売り場で、作る場所は要る
  • 作る場所の用意は、自宅の改装・シェアキッチン・小さな製造所の3つ
  • うちは7坪の製造所だけを借りて、ネットで売り始めた(許可は2022年7月28日)
  • シェアキッチンは、通える距離と利用料と、作る人の負担で決める
  • 小さく始めたい人には勧める。自分の店を持つ実感がほしい人には向かない

まずは、作る場所から考えればいいんだね

売り場がなくても、小さく始めれば、外しても傷は浅く済みますよ。

ネットショップを月額0円で試すなら、STORESのフリープランから始められます。
※料金・条件は変わることがあります。最新は公式サイトでご確認ください。

商品が増えて、お店の見た目を自分で作り込みたくなったら、うちが開業のときから使っているShopifyもあります。

3日間の無料体験のあと、最初の3か月は月額150円で試せます(2026年9月時点)。

うちが開業時から使っているネットショップ
※料金・条件は変わることがあります。最新は公式サイトでご確認ください。

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いろはさん
お菓子屋を開く人と、開いたあとの人へ。兵庫県でマカロン専門店「いろはのおと」(https://iroha-no-oto.com/)を妻と2人で営む、個人事業主5年目の店主です。元メーカー勤務の非エンジニア。菓子の製造は妻(パティシエ)、私はEC・SNS・会計・事務まで裏方をひととおり担当しながら、AI(Claude Code)・個人事業主のお金・店舗運営のリアルを“エアプなし”で正直に発信しています。(FP2級・簿記2級/中小企業診断士は勉強中) 📣 記事の更新はXでお知らせしています → @irohanote168 をフォロー