店主になる前と後、3つの副業に失敗した話【コラム】
156,112文字
画像207枚
出品7点
25分の動画。
これ、私がお店を始める前と後にやった副業で、実際に作ったものの量です。
そして受け取った金額は、全部合わせて0円(!?)でした。
サボって0円だったわけじゃありません。
むしろ、けっこう真面目にやりました。
新書1.5冊分くらいの文字を書いて、ブランド品を7点出品して、25分の動画まで書き出して——それで0円です。
3つとも0円ですが、後悔はひとつもありません。
それどころか、あの3つをやっていなかったら、いまこのブログは書けていません。
なので、これは「副業なんてやめておけ」という記事ではありません。
私がぶつかった落とし穴だけ先に渡しておくので、あとは思いきりやってみてほしい。そういう記事です。
全部0円!?
それ、やらなきゃよかったってこと?
ううん、むしろ逆。やってよかったよ!
失敗したから、いま続けられるものが分かったんだ。
- ✅ライター案件で15万字書いて0円になった、その全経緯
- ✅「これは危ない」と後から気づいた副業の、当時の見え方
- ✅25分の動画まで作って公開しなかった理由
- ✅3つの失敗に共通していた、たったひとつのこと
- ✅それでも「やってみてよかった」と言える理由
▼会社員のまま「会社員以外で稼ぐ」を試したかった
2020年の秋、私はまだ会社員でした。マカロン店を開くのは、そこから約1年10ヶ月後です。
副業を始めた理由は、正直に言うと好奇心と、稼ぐ練習でした。
会社員以外で稼ぐのが、どれくらい難しいのか。
給料じゃないお金って、どうやって入ってくるのか?
事業所得の苦労を、先に知っておきたかった。
独立を考えていたので、その予行演習のつもりでした。
いま当時の記録を見返すと、ネットで仕事を受け渡しする「クラウドソーシング」のサイトで、2020年10月に、4日違いで2件の案件に応募しています。
記事執筆と、出品作業。けっこう焦っていたんだと思います。
▼ライターの話。15万文字書いて、報酬は0円
ひとつ目は、Webライターです。
アニメ・ゲーム・音楽などを紹介するまとめサイトの、記事を書く仕事でした。
条件はこうです。
今思い返すとものすごい悪条件ですね。
応募の日、夕方5時に「リライト」——既にある文章を、別の表現で書き直すテストが送られてきて、その日の夜11時半には提出していました。
やる気だけは謎にありました。
テスト記事1本に、1ヶ月かかった
テスト記事のお題は、有名なホラーゲームの1作目でした。
指定された構成は「概要」「あらすじ」「ゲームシステム」「登場人物」「アイテム」「用語」「裏話」——これらをすべて書いてください、と。
やってみて分かったんですが、ひとつの作品をちゃんと解説しようとすると、5,000文字では全然収まりません。
登場人物だけで10人以上いて、それぞれに設定があって、アイテムも武器も全部説明する。書き始めたら止まらなくなりました。
1ヶ月かけて書き上げて提出したら、返ってきた修正指示は20項目以上。
しかも同じ日に、追加でもう6項目。
「見出しに階層をつけて」
「コロンは全角で統一して」
「セリフ以外で三点リーダーを使わないで」
「この誤字を直して」
「声優さんの表記はカタカナに統一して」
——ひとつひとつは、ぜんぶ正しい指摘です。丁寧に見てもらっていたと思います。
20項目!?
1回で終わらないやつだ……
終わらなかったね。
修正だけで1ヶ月かかった記事もあるよ。
正直に書きます。Wikipediaを使いました
2本目の記事で、こんな指摘を受けました。
Wikipediaの内容と似すぎているので、自分の言葉で書き直してほしい、と。
そのとおりでした。キャラクター紹介で自分の個性を出すのが、どうしても難しかったんです。設定を並べるだけの文章に、私の言葉なんて入る余地がない。
だから調べたものを、言い換えて書いていました。
いま思えば、この時点で答えは出ていましたね。
自分の言葉が入らない文章は、書いていてもしんどいということです。
だからいまのブログは、自分が実際にやったことしか書きません。
結局、3本で156,112文字だった
この案件で私が書き上げたのは、全部で3本です。いま実際に数えてみました。
| 記事 | 文字数 | 画像 |
|---|---|---|
| テスト記事 | 50,444字 | 38枚 |
| 本契約1本目 | 52,222字 | 99枚 |
| 本契約2本目 | 53,446字 | 70枚 |
| 合計 | 156,112字 | 207枚 |
新書1冊がだいたい10万字と言われるので、新書1.5冊分です。
依頼された量は「5,000文字以上」でしたから、1本あたり10倍以上書いていたことになります。
誰かに「もっと書け」と言われたわけじゃありません。
ちゃんと解説しようとしたら、そうなっただけです。
▼次の依頼が来た4時間後、「もう続けられません」
3本目——本契約の2本目にあたる記事は、依頼が2021年3月18日、納品が8月1日でした。4ヶ月半かかっています。
そこから何度か修正のやり取りをして、8月11日のお昼、ようやく「修正確認いたしました」の返事が来ました。
そして同じメッセージの続きで、次の作品の執筆を依頼されました。
その3時間51分後に、私はこう返信しています。
誠に勝手ながら諸事情により記事の続行が難しく、本件をもちまして辞退させていただけないでしょうか。
完成した瞬間に見えたこと
4ヶ月半かけたものが終わって、次の依頼が来た瞬間に、急にはっきり見えました。
いくら実績がないとはいえ、安すぎる。
当時の私は相場を知りませんでした。
文字単価——「1文字あたりいくら」という数え方すら、ちゃんと分かっていなかったと思います。
だから「実績づくりだから」で受け入れていましたね。
でもあの日、はっきりこう思ったんです。
これはAIのない時代の、ただの「人力AI」だ、と。
調べたことを型どおりに並べて、指示どおりに直すだけ。
そこに私が書く意味はひとつもありませんでした。
辞めるのにも、交渉が必要だった
辞退の申し出は、断られました。
「10記事という前提で結んだ契約なので、途中終了はお受けできかねます」と返ってきました(この時点で「この契約、ヤバいかも」と思いました(笑))。
私はこう返しています。
本件まだ報酬金額をいただいてないのですが、それでも辞退不可でしょうか?
そう、この時点でまだ1円も受け取っていません。
10ヶ月やって、15万字書いて、入金はゼロでした。
そこから何往復かして、私は条件の見直しをお願いしました。
・現状は1記事あたり手取り約855円。これを文字単価1円にしてほしい
・追加の修正依頼は2回までにしてほしい
返ってきた回答は「残り2記事を1,200円にアップします。ただし文字単価ではなく記事単価です」でした。
私の最後の返信です。
一記事5000文字としても1200円=0.24円/文字という事のため、下名の要望としては叶っていない結果となりました。
最終的に「特例として途中キャンセル」という形で処理してもらい、契約は終わりました。報酬は0円です。
誤解のないように書いておくと、相手だけに原因があったという話ではありません。
条件は最初から提示されていて、それに合意したのは私です。
ただ、相場を知らないまま合意するとこうなるというだけの話です。
そしてこれ、本を読んでも身につかなかったと思います。
「文字単価の相場は◯円」と書いてあるのを読むのと、15万字書いて0円になるのとでは、身体への入り方がまったく違いました。
安い仕事を、安いと感じられる感覚。あれはやらないと手に入らなかったです。
10ヶ月がんばって0円は、しんどいね……
お金は残らなかったけど、「これは違う」と分かったのは収穫だったかな。
▼せどり手伝いは1品40円。危険信号に気づけなかった
ふたつ目は、同じ月に応募した出品作業です。海外のブランド品を、あるショッピングサイトに出品していく仕事でした。
募集ページには「20,000円〜50,000円」と書いてありました。
でも契約直前に提示された金額は、出品10件で400円。1品40円です。
それでも受けました。理由は実績づくりです。とにかく最初の1件をこなしたかったからだと思います。
いま並べると、危険信号だらけでした
そこから起きたことを、順番に書きます。
- 契約した直後に「お互い手数料を取られるので、サイトを通さない直のやり取りにしましょう」とメッセージアプリへ誘導された
- まだ1品も作業していないのに「完了報告をお願いします」と言われた
- 相手のアカウントのログインパスワードを、そのまま送られてきた。他人のアカウントに入って作業する形だった
- 「海外の通販サイトから商品画像を持ってきて、少し編集して使ってください」(そのまま使うとまずいので、と)
パスワード!?
それ、いま聞くとぜんぶ危ないんじゃない!?
それがね。当時は何ひとつ気づけてなかったんだよ。
本当に、ひとつも引っかかりませんでした。
「そういうものなんだろう」と思って、全部そのとおりにやりました(泣)。
唯一、作業前の完了報告のときだけ「完了報告だけでよろしいのでしょうか?」と聞き返しています。でもそれも「はい、ひとまずお願いします」と言われて、そのまま従いました。
7点出品したところで、アカウントが止まった
作業を始めて1ヶ月ほど経った頃、一斉メールが届きました。
先方からの連絡によると、ブランド側の調査がきっかけで、そのアカウントが停止されたとのことでした。運営はそこで終了。私が出品したのは、合計7点でした。
報酬は7点×40円で280円のはずでしたが、振込先を伝えたきり、入金はありませんでした。
お金の話より、いま振り返ってぞっとするのはこちらです。
私は自分が何をしているのか、まったく分かっていませんでした。
他人のアカウントで、どこかから持ってきた画像を加工して、ブランド品を出品していた。「規約違反かもしれない」という考えが、頭に一度も浮かびませんでした。
知らなかったから許される、という話ではないと思っています。
知らないまま手を動かしていたことが、いちばん怖いんです。
念のために書いておくと、クラウドソーシング自体が危険なのではありません。
私が止まれなかったのは、サイトの外への誘導や作業前の完了報告を「普通ではない」と知らなかったからです。
連絡をサイトの中に残して、報酬と作業範囲を先に確認する。それだけで、同じ穴はだいぶ避けられます。
この経験があるので、うちのブログでは怪しい副業や情報商材の見分け方を別記事にまとめています。あの記事に書いた「危ない兆候」は、半分くらい自分が踏んだものです。
▼音楽制作は、25分の動画を作って一度も公開しなかった
最後の3つ目は、お店を始めたあとの話です。2024年の秋、開業3年目でした。
やろうとしたのは、AIで音楽を作って、YouTubeのBGMチャンネルにすることです。
お店とは別に、収益の柱をもうひとつ増やしたくて、いまのこのブログみたいなものを、音楽で作れないかと考えていました。
作ったものは、フォルダにそのまま残っています。
- AIで生成したlo-fi系の曲を3曲(3分〜4分半)
- YouTube用のサムネイルを4パターン(チャンネル名まで決めていました)
- 25分の動画と、ショート用の1分版
- そのあとも季節ものを何曲か(クリスマス、お正月)
ここまで作って、1本も公開していません。
え、もったいない。
なんで出さなかったの?
途中から、作るのがしんどくなっちゃってね。
▼20歳から27歳まで、私は曲を作っていました
なぜ楽しくなくなったのか。これは、もう少し前の話をしないと伝わらないと思います。
私は20歳から27歳まで、バンドで音楽をやっていました。
ギターとベースとピアノを練習して、最後のほうは曲も自分で作れるくらいにはなっていました。
バンドは27歳のときに終わりました。ギターが抜けて、解散です。
そこからしばらく、ぽっかりしていました。何か自分が熱を持ってできることはないかな、とずっと探していて——その答えとして見つけたのが、お店を始めることだったんです。
AIの曲に、私の熱は乗らなかった
そういう7年間があったので、2024年にAIで曲を作ったとき、差が分かってしまいました。
音はきれいに出ます。AIに指示の文章を打てば、それらしい音楽が返ってくる。
サムネイルも作れる。動画にもできる。でもどうしても作業感が否めませんでした。
魂を込めた作品ができない。
でも、やってみたから分かったんです。頭で考えているだけなら「AIで音楽って稼げるのかな」で止まっていました。実際に3曲作って、サムネを4枚描いて、25分の動画まで書き出したから、自分が何になら熱を持てるのかがはっきりしました。
▼同じ0円でも、止まり方は3つとも違った

3つ並べてみると、結果はどれも0円なのに、止まり方はぜんぶ違いました。上の図のとおりです。
いちばん危なかったのは、間違いなく真ん中です。自分で止められなかったから。
相手のアカウントが停止されなければ、私はあのまま続けていたと思います。
▼でも、いちばん奥では3つとも同じでした

止まり方は違うのに、後から並べたら、やっていたことの中身は同じでした。
他人の型で言い換える。他人のアカウントで他人の画像を加工する。
AIが作った曲を動画にする。
どれも、自分の中身が1ミリも入っていません。
止まり方は違っても、どれも「長く続けたい」とは思えませんでした。安さや危うさは、やめたきっかけにすぎません。いちばん奥には——自分の熱を注げる場所がなかったんだと思います。
いま、このブログは誰にも頼まれていません。
締切もないし、書かなくても誰も困りません。AI音楽と条件は同じはずです。
それでも続いているのは、自分の実体験と、自分が調べて分かったことを書いているからです。うまく言えないんですが、記事や文章になら、魂を込められている感じがします。
バンドのときと、同じ感じ?
近いかもしれないね。
形が変わっただけで、探してたのは同じものだったかもね。
▼3つの0円が、いまいちばん役に立っています
お金は1円も残りませんでした。
でも、いま毎日いちばん使っているものは、この3つから来ています。
| あのとき | いま効いていること |
|---|---|
| 15万字を書いた | 長い記事を最後まで書き切る体力がついた。調べただけの文章はつまらないと身体で知った |
| 危ない案件を踏んだ | 怪しい話の見分け方を、人から聞いた話ではなく自分の話として書ける |
| AIで曲を作った | 自分が熱を注げるのは文章だったと、はっきり分かった |
特にいちばん上です。あのとき「調べたことを言い換えるだけの文章」を15万字も書いたから、いま自分の実体験しか書かないと決められています。
あれがなかったら、たぶん今も他人の言葉を並べたブログを書いていました。
3つとも0円です。でもいちばん高い授業料を払わずに済んだとも言えます。
もし副業をやらないまま独立していたら、同じことを「お店の売上」で学ぶことになっていたので。
▼だからこそ、あなたにも挑戦してほしい

もともとの動機は「会社員以外で稼ぐのって、どれくらい難しいんだろう」という好奇心でした。
その答えは、十分知れました。
事業所得の苦労も、身をもって分かりました。
目的は達成しました!0円でしたけど(笑)。
だから、もしいま「何か始めてみようかな」と思っている方がいたら、やってみてくださいと言いたいです。
コツはひとつだけ。失っても困らない時間とお金を、先に決めておくこと。
その範囲で小さく試して、「これは違う」と分かったなら、それも立派な結果です。私みたいに、5年後にブログのネタにもなります。
ただ、私がぶつかった穴は、先に知っておけば避けられます。3つだけ置いておくので、これだけ持って行ってください。
- 相場を先に調べる。「実績づくりだから」で単価を決めない。安いと分かったうえで受けるのと、知らずに受けるのはまったく違う
- 作業範囲と修正回数を、始める前に文字で残す。「クオリティ優先で」は、終わりが決まっていないのと同じ
- サイトの外に呼ばれたら、いったん止まる。他人のアカウント情報を渡されるのも、どこかから持ってきた画像を使うのも、普通ではない
あと、これは教訓というより発見なんですが
——作ることと、公開して続けることは、別の仕事でした。
25分の動画を作れても、出せるとは限らない。そこは根性ではどうにもならなくて、そこに熱を注げるかどうかで決まってしまう気がします。
そしてそれは、やってみるまで分かりません。私も文章なら続けられると分かったのは、音楽で止まったあとでした。
自分が何に熱を持てるかは、頭で考えても出てこない。
だから3つとも無駄じゃなかったんだと信じてるんです。
会社を辞めたときの話や、独立して4年経った本音は別のコラムに書いています。よければそちらも。
いま同じ案件が来たら、どうする?
条件も同じなら、やらないかな。
ただ、お金だけじゃなく自分が本当にやりたいかも必ず考えるね。
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